2007年01月29日
トリーター:岩崎

ドルフィンホイッスル

みなさんこんにちは、寒い日が続いていますがいかがお過ごしですか?
昨年ドイツでサッカーのワールドカップが開催されました。日本チームは惜しくも一次リーグで敗退してしまいましたが、3位決定戦の主審を務め、世界の舞台で大活躍された上川審判員を覚えていますか?ワールドカップ直後には中田選手の現役引退が話題になりましたが、上川審判員も先日現役引退を表明されたそうです。審判員として早すぎる引退は、膝のけがが主な原因とのことです。とても残念なことですが、今後のご活躍にもぜひ期待したいと思います。

サッカーのレフリーはホイッスルで試合をコントロールすることが主な役割ですが、「選手との信頼関係とうそをつかない正直さ」が大切なのだそうです。
私たちトリーターもイルカたちとのコミュニケーションの方法としてドルフィンホイッスルと呼ばれる笛を使っています。
よくみなさんからは「笛でイルカをおとなしくさせているのですか?」と質問を受けるのですが、実は笛の音でイルカたちに「いま動きは良かったよ!」と伝えているのです。     
最初笛の音はイルカたちにとって何の意味も無いものなのですが、イルカたちに笛の音を聞かせたあとすぐに大好きな魚を与え、「笛の音→魚、笛の音→魚」これを何度も何度も繰り返すことによって、「笛の音が鳴ると大好きな魚がもらえる」ということをイルカたちに教えていきます。
イルカたちにとって「笛の音=魚(良いことが起きる)」の関係が成立すると、トレーニングやショーの中で何かしてほしい行動をした時に笛の音を聞かせることでイルカたちに「今の動きは良かった!」と瞬間的に伝えることができ、良い方向に導くことができます。言葉では通じ合えないイルカたちと私たちを結ぶ「架け橋」の意味があることから、この笛のことをわたしたちは「ブリッジ」と呼んでいます。
笛を吹くことはわたしたちトリーターにとって大変な責任があります。もし良くない行動をしている時に笛を吹いてしまうと、そのことを繰り返してしまうことになります。
また、いつもより低いジャンプの時に吹いてしまうとどんどんジャンプの高さは低くなってしまいます。あいまいな態度は「さっきはこれでよかったのに何でいまのはだめなの?」とイルカたちを困惑させてしまうことにもなります。
笛を吹くにはしっかりとした基準と素早い判断が必要で、イルカたちとの信頼関係が大切です。わたしもイルカたちに信頼される「名トリーター」になれるようにこれからも努力していきたいと思います。

ショーの中で「どのような時に笛の音が聞こえるか?」そんなところに注目してみるとちがったおもしろさがあるかもしれません。ぜひお試しください。

イルカショースタジアム

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