2007年03月05日
トリーター:寺沢

あと 3問

2月の仕事、問題作り。
受験シーズンも終わりを告げようとしているが、この時期、問題作りに忙しい。日本野生動物医学会の専門医の問題だ。
そこで、こんな問題を作ってみた。

【問題】 ゴマフアザラシの出産月で最も適するのは、下記のうちどれか?
( 1)  1月
( 2)  4月
( 3)  7月
( 4) 10月
( 5) 12月

【正解】 ( 2)  4月

【解説】 ゴマフアザラシの出産は 3~ 4月、流氷の上で起こる。飼育下でも同じ時期である。そのため、夏や秋生まれのゴマフアザラシはいない。
生まれたばかりの新生子は、白い体毛(新生子毛)で体長 70~ 80cm、体重 8~ 10kgの大きさだ。ゴマフアザラシの子育てはとても短く、わずか3週間だ。
脂肪分 40%以上(牛乳の 10倍)の乳を飲み、親離れ前には出産時の 3~ 4倍の大きさ、体重 30~ 40kgへと成長する。
4~ 5月、子育てを終えた母親はその後、オスと交尾する。次の妊娠だ。
ゴマフアザラシの妊娠期間はおよそ 11か月。一方、胎子の発育する正味の期間は3か月。これでは出産時期が異なってしまうが、実はこの 3か月が重要だ。
受精卵はすぐに、子宮に付着(着床)することなく、ゴマフアザラシでは 3か月、子宮内を漂っている。専門的には、これを着床遅延と呼び、それによって出産時期を一定にすることができるといわれている。着床遅延は他の鰭脚類でもみられ、オットセイの出産は 7月だ。
ちなみに、私も 7月生まれだ。

余計なことを書かずに、あと 3問。締め切りは過ぎている。

ゴマフアザラシゴマフアザラシ

ペンギン・アザラシ

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