2007年03月12日
トリーター:倉形

外来生物が生態系に及ぼす影響

最近 国内外の各地で、元来その地域には生息していないはずの生物(ここでは主に水棲由来の生物)が大繁殖し、固有種が絶滅に瀕しています。このような問題は、発生後早急に対応しないと大変な事態へと発展してしまいます。
外来生物の大繁殖や生息域の拡散には、二つの要因があります。
ひとつは人為的にその場所に生物を放す場合、もうひとつは人為的ではなく、何かに生物が付着したり水の中に含まれたりしたものが、別の場所に放たれるという場合です。

日本や東アジアの一部だけにしか分布していないはずの「ワカメ」は、現在オーストラリアや、ニュージーランド、北米太平洋沿岸などで拡散・大繁殖していて、貝類養殖に悪影響を及ぼしていることが日本の大学などの研究機関の調査で分かりました。
このことから国際海事機関は、ワカメを沿岸生態系のかく乱のリスクが最も大きい 10の海洋生物の 1つにランクしています。
専門家の研究チームが世界各地のワカメを遺伝子レベルで分析し、タイプを比較した結果、北米産は日本から移入されたものとみられ、ニュージーランド産は韓国や中国からの移入が繰り返された後、全域に拡がったことが判明しました。またオーストラリアは二次的に拡散した可能性が高いとみられています。
日本でも海外から移入された生物が、分布域を拡大しつつあるという報告があります。そのひとつが 1972年、瀬戸内海で確認された二枚貝のヒバリガイの仲間で、固有種と競合する恐れがあるそうです。研究チームの調査結果では、このヒバリガイの仲間はオーストラリアからの移入の可能性が高いということでした。
このような生物の生息域の拡大や繁殖などは、地球環境の変化とも密接に関係していると思われます。私たち人間が普段、目にするような場所で起きていれば、対策を講じることができます。しかし水中(深いところ)など、人目に付きにくい場所で繁殖が進んでいれば、気が付いた時には手遅れになっている、ということにもなりかねません。

身近な生き物の棲んでいる場所を知ること。それは自然環境について学ぶきっかけとなります。そして今以上に環境に配慮した生活を私たちが送ることで、生き物に優しい環境になっていくのではないでしょうか。

ワカメワカメ

えのすいeco環境水槽

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