2007年09月11日
トリーター:伊藤

魚の掃除屋ホンソメワケベラ

やっと涼しくなってきましたが、猛暑の名残か、無意識にクーラーをつけてしまう伊藤です。
ここのところ「深海コーナー」の「ダイオウグソクムシ」の話が続きましたが、本日は相模湾大水槽のある魚についてです。
「掃除魚」ホンソメワケベラ。他の魚の体に付いた寄生虫を専ら食べる性質を持っており、色々な魚に近づいては体をツンツコ突っついています。この刺激が魚にとって悪くないものらしく、種類によっては気持ちよさそうに口やヒレを広げたり、泳ぐのを忘れて水底にゴロンと横になるものもいます。

この面白いホンソメワケベラの掃除行動については、昔から多くの人々が観察し、報告をしていますが、本来は南国の魚なので、冬に寒くなる相模湾においては定着できず少ないため観察例が少ないとされています。
しかしながら「相模湾大水槽」は冬のない「擬似相模湾」、この中でホンソメワケベラがどのように働くか、潜水作業をしつつ調べたことがありました。
実は今度、その結果について発表をしてきます。詳しい結果はそのときに話すのですが、ざっと収容魚種の半分、50種類以上が本種の掃除を受け入れているという結果が出ています。
相模湾の魚の中には、ホンソメワケベラと生まれて初めて出会った魚もいるはずですが、ちゃんと掃除を受け入れるものもあり、本能の中にホンソメとの共生が染み付いているとすら思えます。不思議ですね。

クエの口からヒョッコラとクエの口からヒョッコラと

相模湾ゾーン

RSS