2007年11月16日
トリーター:今井

一瞬あせる質問

子供たちのガイドで、「何を食べてるの?」、「何処にすんでるの?」という質問は答えやすい。
「どうして水の中で息ができるの?」、「なんで卵を産むと死んじゃうの?」に対しては、少しでも難しくいおうものなら、彼らの意識は飛び移ってしまうので、顔色を見ながら短く答える。
「なんで生きてるの?」、「カニになって、死ぬとどうなるの?」となると一瞬あせる。哲学か?はたまた前世の報いについて説けというのか?
だが慌てることは無い。答えはそれぞれ「ほら、ヒゲが動いてるでしょ~」と、「次はメバルを入れるつもりだよ~」で、OKなのだ。

ところで、当館のサメ水槽にはツマグロやアカシュモクザメと一緒に、15cmほどの小魚がちょっと申し訳なさそうに泳いでいる。金色の体に黒い横じまが目立つコガネシマアジだ。
さっそく「餌なの~?」とくる。自然下では大型サメ・エイ類の吻先を泳ぐことで、外敵から身を守っており、まるで“虎の威を借る狐”のようだが、水槽内ではその習性が徐々に薄れ、適当にサメを避けながら、擦れ違いの生活をはじめる。大人なら聞かせどころだが、彼らは違う。純粋に目に映るものを受け入れている。その姿に、作者の説明が聞こえてきそうなレイアウトや小細工は、洗練せねばならぬと改めて反省するのである。
潔く水だけのイルカプールの前では、特にはしゃいでいる。「生まれ変わったらイルカになりた~い!」の声には、やっぱりそっち系でくる?と一瞬あせる。

サメ水槽サメ水槽

太平洋

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