2008年01月01日
トリーター:寺沢

オリンピックの年、世界水族館会議の年

水族館の入り口を背にすると三浦半島を向き、その方角から日は昇る。
江の島東浜、弁天橋には黒山の人だかり。日中の熱気さめやらぬ、八月の花火の時とは違い、浜辺はおごそかな雰囲気を醸し出している。
老若男女、人それぞれ、心に期す想いは異なれど、見つめる先はただ一点、神々しいまでのまばゆい光。6時51分、日は昇った。

新しい年の幕開けだ。

13億の人民が待ちに待った、2008年がやってきた。
アジアで五回目、夏季大会としては三回目、中国で初めての、オリンピックが八月に北京で開催される。さぞかし今頃、天安門広場では旧正月に負けず劣らず、爆竹を鳴らし、やんや、やんやの大喝采であろう。
中華人民共和国万歳 世界人民大団結万歳
天安門に掲げられているスローガン、それは正しく北京オリンピックそのものだ。

中国と江の島との関係は深い。今や、絶滅危惧種となってしまったヨウスコウカワイルカの保護には多大なる、協力をおこなってきた。
ストランディングしたところを保護され、22年間飼育された、唯一のヨウスコウカワイルカ、“淇淇”(チーチー)も今はいない。
一昨年秋、宣昌~上海の間で行われた揚子江の目視調査でも一頭の目撃例もなかったという。
昨年夏、一本の朗報が世界を駆け巡った。「あの大きくて白いものは何だ?」と安徽省銅陵で一般市民が撮影したビデオに写っていたのは、なんとヨウスコウカワイルカだったという。

夏季オリンピックの年に合わせて、四年に 1度、世界水族館会議が開催されている。アジアで二回目、中国で初めての、世界水族館会議が上海海洋館で十月に開かれる。
旧館時代には湖北省、安徽省から研修生を招き小型鯨類の飼育方法を教えたり、我々が彼らの施設や揚子江を視察してアドバイスをしたりした。江の島で学び育った、その若者が盛年となり、今やその輪の中心にいる。今度は、彼らが世界の水族館屋を招く番だ。
熱烈歓迎 熱烈感激

日出る国から、目覚めた獅子の国へ、いざ行かん。

ヨウスコウカワイルカヨウスコウカワイルカ

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