2008年01月29日
トリーター:植田

養殖の話その 1

今度の 3月下旬から食卓水槽のコーナーは「養殖」をテーマに展示変えをする予定です。
これに先立ち、神奈川県内の養殖関係の機関や業者の取材をおこなってまいりました。
そこでこの機会に、その取材でわかったことをダイジェストでご紹介したいと思います。

きょうはスッポンです。
現在、食卓水槽のコーナーのテーマは「海の幸と栄養」ですが、その中で、海の幸の滋養についての展示水槽があります。そこで取り上げられているのがスッポンです。
このスッポンを調べてみますと、れっきとした養殖対象動物だということが分かりました。
しかも、軒数は多くないものの神奈川県下でもスッポン養殖はおこなわれているのです。
先日そのうちの 1軒を訪ね、ご主人のお話を聞いてまいりました。

スッポンは、例年 6月から 8月に産卵するそうです。そのうち早い時期に産卵したものは真夏にふ化し、その頃の体重は 5gほど、甲羅の大きさはちょうど 5円玉ほどだそうです。
この子どもの繁殖は主に九州地方でおこなわれているそうで、ご主人は 8月上旬ふ化後さほど日を経ていない稚ガメを入手し養殖を始めるそうです。
夏も冬も水温を 30℃ぐらいに保つと、翌春には 300gほどにまで成長し、さらに 2年目の夏場にしっかり餌を与えるとその年の秋までに 1kgほどに成長し、おとなとなります。
このサイズで出荷されるそうです。
ご主人のところでは例年 3000匹ほどのスッポンを養殖しているそうですが、今年の夏で丁度養殖を始めて 30年になるそうです。
養殖を始めた最初の 5年間は手探り状態で、ある年には養殖半ばで全滅させたこともあったという苦労話も話していただきました。

我々も毎日毎日展示飼育されている生物たちの調子には細心の注意を払いながら、飼育の仕事を進めています。
ご主人のお話をお聞きしながら、共通点の多いことに気付かせられた取材でした。

関連日誌
[ 養殖の話その 2 ]

スッポンスッポン

相模湾ゾーン

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