2008年03月07日
トリーター:岩崎

自然への窓口

みなさんは初めてイルカの仲間を目にしたのは、どんな場所ですか?
多くの方の答えは「水族館!」で、「自然の海!」と答えた方は少ないのではないでしょうか?
私も初めて本物のイルカを見た場所は、水族館でした。
洗練された美しい流線型、大きな体で豪快なジャンプ。初めての出会い、小さな頃の記憶ですが「こんな生き物が世の中にはいるのだな」と感動したことを覚えています。

野生のイルカに出会うことができるポイントとして有名なのは、この近くでは伊豆諸島の御蔵島でしょうか。少し足を伸ばさないと出会うことができないイメージがありますよね。
私が初めて野生のイルカに出会った場所。実はとても身近な江の島でした。
シーカヤックで江の島の南側をツーリングしていたところ、近くに大きな黒い影、突然の呼吸音。
2頭のイルカが目の前に現れました。
しばらくカヤックの近くを仲良く泳いでいましたが、やがて遠くの方へと去っていきました。
バンドウイルカの親子と思われる 2頭のイルカが、江の島付近に定着しているうわさは耳にしていましたが、簡単に出会えるとは思わなかったので、大変驚いたことを記憶しています。
子どもが成長したためでしょうか。このイルカたちは江の島から旅立ったようで、しばらく後には見かけなくなりました。

みなさんから「イルカはどこに棲んでいるのですか?」と質問を受けることがあります。
「目の前の相模湾にもたくさんのイルカたちが生活していますよ。」と答えると、かなりの方が「へーそうなんですか!」と驚かれます。
鎌倉の海岸に死んでしまったカマイルカが打ち上げられたことや、横浜港でマイルカと思われる 2頭のイルカが目撃されたニュースが、最近の新聞に掲載されていました。
船旅の途中でイルカの大群に遭遇できる場合もあります。
わたしたちはこのような偶然の出会いがあって、初めて「身近な海」と「イルカの棲む海」のつながりを認識できるのかも知れませんね。

水族館は身近な海への窓口としての役割があります。
相模湾大水槽をはじめ、クラゲや深海生物、海獣類も含めて、自然の一部を再現して、みなさんにご覧いただいています。
水族館で初めてイルカに出会った方、不思議な深海生物や漂うクラゲに心奪われてしまった方、相模湾大水槽でマイワシの大群に魅了されてしまった方もいるかも知れません。
「水族館の世界」は「身近な海」につながっています。
水族館の生き物たちを通して、みなさんがもっともっと身近な海を好きになっていただけたなら、私たちの仕事は合格なのではないかと思っています。

自然からの預かりものである生き物たち。
水族館では大切に、できるだけ健康で自然に近い状態で展示するように心がけています。
「水族館から自然の海へ」そのような視点でも水族館をぜひご活用ください。

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