2009年05月14日
トリーター:寺沢

おきのたゆう

1902年の大噴火でその島の住人はすべて姿を消した。沖の大夫(たゆう)の祟りと噂され、恐れられた。
というのも、明治維新後、沖の大夫は多数捕えられ、乱獲されたからだ。

鳥島。

東京から南に 600km離れた、太平洋上に浮かぶ、絶界の孤島。
今では許可なく立ち入ることの出来ない無人の島で、沖の大夫の島。それでも、れっきとした東京都。
あのジョン万次郎らが漂着したのもこの島だったとか。

沖の大夫はひとたび風を捉えると、旋回しながら舞う。
翼を大きく広げると 3mにもなり、強い波がつくりだす気流を利用して大海原を何日も滑空し、風がなくなると波間を漂う。

沖の大夫は 14種類知られている。その内、10種は風の止むことのない「吠える南緯40度」、「狂う南緯 50度」に棲むという。
南極からの寒流と太平洋からの暖流がぶつかりあう、天候の安定しない海域。

沖の大夫は単独で移動し、同じ島に帰り、同じ相手とつがう。
今年もその島では 300羽以上の新しい沖の大夫が誕生したのだとか。

沖の大夫とは、アホウドリのこと。

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