2009年12月30日
トリーター:伊藤

ギラギラ子育て、タナゴモドキ


夏頃の日誌で、天皇陛下のご研究コーナーに展示している「タナゴモドキ」がイイ感じに繁殖スタンバイ状態になっているとお伝えしましたが、ついにその時がやってきました。
水槽内の 3個体のオスが、これ以上ないほどに派手な「婚姻色」になりました。まるで体内から光があふれるような「ギラギラ」感です。
そのままそっと観察していると、岩や枝の陰に縄張りを主張したオスのもとに、メスが寄り添い、産卵にいたりました。感動の瞬間です。
この一連の生態、ぜひみなさんにもご覧いただきたかったのですが、残念ながら数日経った今ではちょっと下火となってしまいました。
運よくご覧いただけた方(いるのでしょうか?)は本当にラッキーだったと思います(ハゼの研究者でも一生のうちで見る機会が特に少ないシーンです)。

さて、水族館としてはぜひとも次世代の育成といきたいところだったのですが、残念ながら、途中までしか成長させることができませんでした。
本種の育成はとても難しいとされます。産卵例が少ないのもそうですが、たとえ生まれても、稚魚が小さすぎて育てにくいのです。
これまで、いくつかの研究機関で育成が試みられてきましたが、数年前に東北の水族館で成功するまでは、失敗の連続だったと聞いています。
当館でもぜひそれに続きたかったのですが残念です。
日本で最も希少なハゼの一つですから、また機会があれば、繁殖にチャレンジしたいと思います。

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ギラギラ夫婦の産卵行動ギラギラ夫婦の産卵行動枝には微小な卵がびっしり枝には微小な卵がびっしりもうすぐ生まれそうな卵もうすぐ生まれそうな卵

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