2010年04月05日
トリーター:伊藤

研究の「ひとまずの」終着駅は?


よく「水族館ではどんな研究をしているんですか?」とたずねられます。
なかなか正確に答えるのは難しいので、大雑把に「いろいろな飼育生物や江の島の生き物について、研究を続けています」とお茶を濁します。

「研究」というのは広い意味で、分かっていないことを調べて、解き明かしたり、新しい説を理詰めで提唱したりすることですが、狭い意味(手段)でいえば、「調べた成果」をまとめて「口で発表」してから、「文章にして公表する」こととして捉えています。

つい先日、神奈川県立生命の星・地球博物館から「神奈川自然誌資料」という雑誌の最新号が刊行されました。
当館からは 3つの研究成果(ウバザメ、ミドリイガイ、イシガイ類)が掲載されました。
こうした学術雑誌に載せて頂くには、それなりのデータを示した上で、解りやすくまとめて、複数いる審査員(その道の研究者)に認めて(許して?)もらわないとなりません。
私も著者の一人としてここ半年ほど四苦八苦してまとめたものですから、その成果が世に出てくれて嬉しさもひとしおです。

私たちがショーや講演で発する「声」としての情報は、パッと光る打ち上げ花火の様なもので、インパクトが強いかわりに、その一瞬だけ知ることができるものです。
一方で論文などの「文章」としての情報は、インパクトはありませんが、じわじわ何十年にもわたり、読者に情報を提供し続けるLEDランプのようなものでしょうね。
これからも末長く光り続けてほしいと願っています。

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