2010年04月10日
トリーター:崎山

ウナギの完全養殖


世界で初めてウナギの完全養殖が成功した、というニュースが流れました。
完全養殖とは、人工的にふ化させた子どもを育て成熟させて、そこから再び子どもをとるというものです。

ウナギは我々の食卓には欠かせない魚です。その生態は不明なところが多く、かつてはアリストテレスが「ウナギは泥から湧いてくる」とかいったとか。

ウナギは海で産卵・ふ化し、川にのぼってきます。
今時期、湘南海岸ではシラスウナギ漁が盛んです。
基本的にはそこで捕れたシラスウナギを養鰻業者が育てて、それが市場に出ています。
日本にいるウナギの産卵場所が、太平洋のマリアナ諸島西のスルガ海山付近であることがわかったのは 2006年と最近のことです。
こういった生き物が次の世代を残す「生殖・繁殖」は、我々水族館の人間にとっても大きな課題です。
飼育には段階があります。
最初は「生かして入手する」。
次に、とりあえず「飼う」。
次に「長く飼う」。
さらに「長~く飼う」。
そして、長く飼育して成熟させて「繁殖させる」。
もっと行けば、飼育下で世代を重ねる・・・。
勝手に繁殖してしまうこともありますが、基本的にはさまざまな課題をクリアしなくてはなりません。
動物園水族館で「飼育する」上では、やはり飼育下で「繁殖する」ということが最終・最大目標となります。
そのため、日本動物園水族館協会では、協会に加盟する園館で、飼育動物の繁殖に成功し、それが日本で最初であったものについては「繁殖賞」という栄誉を与えています。

ウナギウナギ

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