2010年05月03日
トリーター:伊藤

まだ見ぬ相模湾 2


ねらった藻とは違う藻のの
今回は入口から 4つ目にある通称「岩礁水槽」の紹介です。
ウミタナゴの稚魚誕生に沸いている当水槽の影の主役は、海藻です。
「何と地味な!」
という声が聞こえてきそうですが、実は海藻の育成・水槽内での世代交代は魚やクラゲよりも難しいのです。地味で難しいものにわざわざチャレンジするのも当館らしさです。

開館当初から育てようと努力しているものに、アラメ、カジメ、ワカメがあります。
うちワカメは冬季に繁茂(よく見る「ゆらゆら姿」:胞子体といいます)しますので、暖かい時期も小さな「夏の姿:配偶体と言います」で世代交代に成功しているはずですが、前 2種は未だ狙って繁茂させるには至りません。
はっきりいって激ムズなのです。
しかしこの水槽、他の水槽と比べて明らかに違うところがあります。
赤や緑の小さな海藻がたくさん生えてくるのです。岩組みのある他の水槽と比べても段違いのワッサリ感。
以前、当時の担当者だった崎山トリーターと一緒に、これらを大学の先生のところへ持って行き、調べてもらったことがあります。
「へーこれは!本来は割と深い所にあって、打ち上げを狙わんと得られない種だね」
「これもなかなか珍しいよ」
と意外な?反応があったのを覚えています。
当水槽では海藻のためによかれと「ふんだんな光」と「うねるような人工の波」を与えています。
これらの配慮は私たちのねらった種とは違うものの、あながち的外れではない部分を射抜いていたようです。

今回、それらの海藻の紹介を水槽わきの解説板として追加しましたので、通の皆様はその写真と水槽内の実物を交互に見ながら、珍しい海藻を見つけてみてください。
小さな子たちは、早く先の魚をみたくてうずうずしてしまうでしょうけれど。

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今が見ごろ!赤い海藻(ヒトツマツとツノムカデだと思いますが・・・)今が見ごろ!赤い海藻(ヒトツマツとツノムカデだと思いますが・・・)

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