2010年05月08日
トリーター:崎山

相模の海ゾーンリニューアル


“えのすい”の目の前に広がる「相模湾」、そこで見られる生き物や環境を展示するのが「相模の海ゾーン」であり、相模湾大水槽を中心に当館の展示の中心を担っています。その相模湾のことを「もっとわかりやすく正確に伝えるために」、4月23日に当ゾーンをリニューアルオープンしました。

その中から本日は「相模湾キッズ水槽」を紹介いたします。

本水槽は 2Fから 1Fにおりるスロープに位置しています。今まではただのグレーの壁だった場所に水槽を立ち上げました。小さなまるい窓が 9つある水槽群です。本水槽のポイントをいくつかあげさせていただきます。

①水槽が低い位置にある。
“えのすい”は開館当初から水槽窓の下端がだいたい 80cmより高い位置にありました(ただし、大水槽やサメ水槽などの大きな水槽は床面からアクリルガラスが立ち上がっています)。これを思い切って子ども向けに、ということで下げたのです。大人の方はかがんでのぞきこまなくてはなりません。

②一部、水槽窓に開閉のフタがついている。
フタがおりていると水槽の下の方しか見えません。お客さま自らフタを上げていただくことで、水槽内を見ることができます。面倒くさいなあと思うかもしれません。でも、漫然と水槽を見るだけでなく、しゃがんで水槽を覗き込む動作、フタを開ける感触、開けて中の生き物を確認、そのお客さま自身がおこなう一連の動作によって、さらに記憶にとどめていただこう、というものです。

③水槽内部を生き物に集中できるよう工夫している。
水族館の水槽の大型化はよく話題にあげられますが、当館ではそれに逆行するかのような小さな水槽を増築しています。本水槽は、発見の小窓「小さな地球」、通称「小窓水槽」に続いての小さな水槽です。
その小窓水槽での不満をもとに、水槽内部の角の辺(へん)が見えないように、黒い塩ビ板を曲げて入れてみました。少しは“器”感が和らいでいると思います。たいしたことではないですが、ちょっとしたこだわりです。

このあたりが展示、という意味での工夫です。その他、裏方的な部分を紹介します。

④極力、通路を邪魔しないようにする。
先に書いたとおり、本水槽は今まではただのグレーの壁だった場所に水槽を立ち上げました。といってもそこは通路で、お客さまのメイン動線です。最初はその通路に水槽、ろ過槽、温調機器全てを置く予定でした。が、それではかなり出っぱってしまい通路の妨げとなってしまいます。ということで壁に穴を開けて、壁の反対側にろ過槽と温調機器を置きました。ちなみにそこは環境水槽(現在、ミノカサゴがわらわら泳いでいます)のバックヤードです。うらは少々がちゃがちゃしましたが、おかげで展示側は水槽のみを置くことになり、かなり奥行きを抑えることができました。壁をレントゲン検査して、鉄筋はどうなっているか、他の電気の線などが走っていないか、などさまざまな苦労の末に実現しました。

⑤斜めの場所に水槽をつくる。
ここはスロープにあり、床が平らではありません。そのため水漏れをするとスロープの下まで水が・・・。業者さんには水平を取って設置してもらうのはもちろん、水漏れ予防の受けをつくってもらうなどいろいろご苦労をかけました。

⑥省エネ
時代はエコ・省エネ。LEDライトを導入しています。

といったところです。しかし、残念ながら狙ったようにいってない部分や、課題も見つかっています。今後、修正していきたいと思っております。

どういった生き物が展示されるのか。みなさま、楽しみにしていてください。

相模湾キッズ水槽相模湾キッズ水槽

相模湾ゾーン

RSS