2010年06月11日
トリーター:石川

巣立ち


先日、今年生まれたペンギンたちがプールへ泳ぎだしました。
俗にいう「巣立ち」になるのでしょうか、各々違う環境のため、「ハク」と「ジャンボ」のヒナ(ハクヒナ)は自らプールへ入り、「ウタ」と「ポー」のヒナ(ウタヒナ)は期日を決めて柵をとり、プールへ入りました。
どちらも巣から外へ出るということでは無事に巣立ちとなったわけです。

ハクヒナは他個体との接触がないため、ペンギン社会への適応はこれからの課題ですが、親子のみの安心できる環境からか、巣立ち後 11日目にはトリーターから魚を食べるようになりました。
前回、「ジャンボ」と「ハク」の子である「コハク」が 162日目で自力摂餌を始めたのと比べると、86日も早い 76日目となります。
ウタヒナは仕切っていた囲いを取り去ったことで即日外部との接触をすることとなったのですが、その分ペンギン社会への適応を順次体感し、「ウタ」とともに自分たちの居場所をみつけだしています。
しかし、他個体からの厳しい教えにかなり緊張気味で、なかなかトリーターから落ち着いて餌をもらえる状況に至りません。自力摂餌には少し時間がかかりそうです。

ここまでお話しするとご察しいただけると思いますが、「巣立ち」といってもすぐに一人(羽)で生きていけるわけではないのです。
たとえ飼育環境下であっても、“えのすい”のペンギン社会のルールを身をもって学び、生きていかねばなりません。
まだまだ我々トリーターからすれば安心できるとういうわけではないのです。

さてみなさんの周辺でもこの時期「巣立ち」した野鳥たちを見かける機会が増えることと思います。
野鳥も同じで、多くは巣から出てからもしばらくは親から餌をもらい外で生きていく知恵を身につけていきます。
この時期私たち人間が間違えやすいのが、巣から落っこちてしまったと勘違いして巣立ちしたヒナを拾ってしまうことです。
もちろん外傷があって動けなかったり、まだ巣立つには早いけど何らかの理由で巣から落っこちてしまったりしたヒナもいますが、親鳥と少し容姿が違っても、近寄ったり、捕まえようとすると意外と元気に短い距離を飛んだりして逃げていけるヒナは、ほとんど巣立ちしたヒナです。
こういった場合は近くに親鳥がいてちゃんと面倒をみているので、そっと見守ってあげてくださいね。

えのすいヒナもまだまだ目が離せませんが、この時期、通勤通学の際にちょっとバードウォッチングなどしてみてはいかがでしょうか。

ウタヒナウタヒナ

ペンギン・アザラシ

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