2010年09月13日
トリーター:唐亀

緑な恐怖


今月のテーマ水槽は「国際生物多様性年~可笑しくも地球のなかまたち~」。
今月の裏テーマは「へんないきもの」。
「地球の生き物は必要の無いものは何一ついない」ということで、へんないきものを集めました。

食虫植物。植物が虫を捕まえて養分にしてしまうという「動物を植物が捕らえる」というおどろおどろしさから、昔からモンスターなどのモチーフになっています。
食虫植物の捕獲手段は「落とし穴方式」、「粘着方式」、「トラバサミ式」、「吸い込み式」、「ポンプ式」などがあります。
現在テーマ水槽に出ているのは、落とし穴式のウツボカズラとサラセニアです。
裏にはトラバサミ式のハエトリソウもあるにはあるのですが・・・。

食虫植物の多くは豊富な水が必要な植物です。
養分はあまり必要としないため、肥料はいらないのですが、だからといって虫を与えなければいけない、というものでもありません。
もともと食虫植物の多くは特殊な環境に育成するのです。

ハエトリソウやサラセニア、モウセンゴケなどは主に栄養の乏しい湿地帯に現われます。
この環境は豊富な水と日光があり、ここで食虫植物は虫を捕まえ繁茂します。
食虫植物が枯れたものは土中の養分となります。
そうなると、段々とその土地は肥沃になり、他の植物が生えてきます。
後から生えてくるヨシやアシなどの背の高い植物は、食虫植物に影を落とし、食虫植物は枯れてしまいます。
このように荒れた大地を開拓するような役割をもっていることから「パイオニア・プランツ」とよばれます。

この企画を立ち上げた6月位には、ショップにいろいろな食虫植物が並んでいました。
それまで、特に気にもかけていなかったのですが、どうやら夏にはほとんど出回らなくなるというウワサを耳にしました。
不安になった私は、とりあえず先に入手して、自宅で育成を試みました。
はじめは比較的順調でしたが・・・。

今年の夏の異常な暑さ。さすがに熱帯雨林出身のウツボカズラは順調でした。
しかし、ハエトリソウやサラセニア、ムシトリスミレにモウセンゴケは何だか元気がありません。
特にハエトリソウは日本の冬には強いのですが、暑さにはてきめんに弱いのです。
それでも、サラセニアはなんとかなりました。
何といってもエアコンは空中湿度を下げてしまうのでこれもまた問題があるのです。
ハエトリソウは細々と何とかもちましたが、今度は展示での育成が模索状態。
とりあえずは元気そうなウツボカズラとサラセニアを。やはりエアコンの効いた館内では湿度が低くいようです。
あの手この手で湿度を上げますが、空気の流れも必要と、まさにハリネズミのジレンマ。ただでさえ、くさ系と相性が良くないというのに。

という訳でタイトルは私の気持ちでした。

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