2010年09月15日
トリーター:唐亀

サイレンと昼


今月のテーマ水槽は「国際生物多様性年~可笑しくも地球のなかまたち~」。
今月の裏テーマは「へんないきもの」。
「地球の生き物は必要の無いものは何一ついない」ということで、へんないきものを集めました。

今年の夏は異常なあつさでしたね。
まだ暑いですが。みなさんも街に出かけた昼下がり、涼を求めてコーヒーショップなどに立ち寄られたりしたかもしれません。実はその時、サイレンをご覧になっているかもしれません。

サイレンは北米の湿地帯にすんでいます。
タイガーサラマンダーのアホロートル(ウーパールーパー)とウナギの合成獣のような感じですが、前足しか持たず、後足はまったくありません。
頭の両側には鰓がありますが、直接空気呼吸もおこなっています。
水が干上がる時期には泥の中に潜ってやり過ごす、ハイギョのような一面ももっています。
北米の湿地帯には、黒と赤の縞模様の半水生のヘビ「ドロヘビ」がくらしています。このヘビは大変偏食家で、このサイレンの仲間を専食しています。
サイレン自体はエビなどのさまざまな動物を食べています。
仲間同士の協調性は悪く、複数で収容すると互いに噛み合ってしまいます。
これはウーパールーパーでも同じで、口元に来たものにとりあえず噛みついてしまう習性からです。
ただ、酷い時には足を食いちぎったりします。
しかし、この仲間はまた「再生」するからスゴイですね。

このサイレンとパトカーなどの警笛「サイレン」は語源が同じです。
サイレンは「セイレーン」と同義で、このセイレーンとは海にすむという妖です。その姿はいわゆる人魚だとか、半人半鳥といわれています。航行中の船があると、呪いの歌を歌い船を沈めるといいます。
似たような妖にローレライがいますが、こちらは美女の姿で現わされます。警笛のサイレンは、この歌からきていますが、動物のサイレンは鰓を羽に見立てて名づけられたようです。

有名な、某コーヒーショップのトレードマークはそのセイレーンなのです。今では略式化された顔だけですが、かつては二本の魚の尾(下半身)を両手に持った姿で描かれていたんですよ。

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