2011年03月25日
トリーター:今井

飼育魚を食べるのか?


お客さまから、
「大きく育った魚は、海に逃がしてあげるのですか?」
「飼ってる魚を食べることはあるんですか?」
というの質問をいただくことがあります。

普通は水族館で飼育した魚を、自然界に戻すことはしません。
いろんな理由がありますが、その一つは、生物は単体で生きているわけではなく、その体に多くの微生物を寄生共生させて生きているからです。
例えば人間のお腹だけでも、たくさんの乳酸菌がいますよね。
飼育環境下ではもう“飼育魚”の体質になっている(自然とは異なる微生物が寄生共生している)とも考えられるために、生物多様性の保護の観念から、(残念ながら)海に放せないのです。

また、食べるか否かですが、普通は食べません。
これにもいろんな理由があります。
養殖魚のように使用する薬品や飼育環境に基準が無いため、食品として提供できない事情もありますが、先述のように“飼育魚”にしてしまったからには、責任を持って飼育し続けなければならない使命があるからです。
ただし、死亡した後に標本として学術に利用することは時折あります。

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