2011年04月09日
トリーター:根本

変化の時


年度の終わりと始まりがやって来るこの季節、毎年繰り返されていますが今年は例年と違いました。
水族館でも今年は異動する方や新入社員が多く、親しい仲間と離れる寂しさや、新入社員の放つ緊張感がそうさせているのかもしれません。
しかし、私にとって母校の北里大学海洋生命科学部の新たなスタートの年であることがとても大きなことなのです。

北里大学海洋生命科学部のキャンパスは岩手県大船渡市三陸町に有り、先生や生徒、校舎とも震災によって大きな被害を受けてしまいました。
三陸での学部存続が不可能となり、現在は医学部や理学部、医療衛生学部がある相模原キャンパスに一時的に移動してきています。

その最中、先日平成 23年度の北里大海洋生命科学部の新入生のオリエンテーションで、卒業生として少しお話させていただく機会がありました。
4月に入ってすぐに、在学中から現在に至るまでお世話になっている先生方から
「新入生に明るい希望を持たせてやってくれ」
と新入生へのお話を頼まれました。
『何を話せば震災に揺れるこの学部に入学する人に希望を持たせてやれるのか・・・』
いろいろ悩みました。
結局、彼らの 10年後の未来である私たちの姿を見せ、10年先を行く私たちからのアドバイスを伝えることにしました。
前日の夜、同級生に連絡をとって事情をはなすと、みんなすぐに熱いコメントを寄せてくれました。
製薬会社の開発者、食品衛生管理者、ウナギの養殖業者、留学生、就職活動中の彼等々、今では会うことは少なくなったけれど、三陸の地で得た絆は強いものです。

当日、久しぶりの相模原キャンパスは、私が在籍していた頃と随分校舎のようすが違っていました。
新しい校舎が建ち並び、北里柴三郎先生の銅像も移動していました。
新しい校舎の階段教室に入ると、広い教室に新入生がビッシリと座っていました。定員を大きく越えて 200名ほど入学してくれたそうです。入学辞退が続出すかと思っていましたが、うれしい限りです。
先生の「履修」の話や「卒業後の就職率」の話の後、私の話でした。
先生や卒業生の心配をよそに、新入生は元気一杯でした。
私の話を真剣に聞いてくれているのを感じました。
話が終わった後、何人もの学生さんがわざわざ私のところまで来て
「水族館に入りたいんですけど、どうしたら良いですか?」
と質問しに来てくれました。
未来に向かって突き進む若い力はたくましいものです。
新入生に三陸キャンパスで過ごさせてあげられない悔しさばかり思っている私たちですが、彼らは相模原キャンパスでの 4年間を頑張ろうとしています。

話をする前日の夜、東北で震災にあった同じ研究室の友がちがくれたコメントでこんなのがありました。

「大変なときは変化の時、変化を楽しむ時!って最近自分にいってます(笑)。」

なかなかイイこといってくれます。
自分も変化をチャンスに変えて頑張りたいと思いました。

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