2011年07月03日
トリーター:唐亀

朱に交われば・・・?


海水浴のシーズンになると必ず挙げられる「危険な生き物の話」。
相模湾大水槽にも危険な魚たちがくらしています。
しかし、毎日入れ替わり立ち替わり我々が潜水作業をしていると段々魚も慣れてきて、我々を敵だと認識しなくなります。
その結果がうおゴコロなんですが。
自然の海では私たちに対しての立ち振る舞いはまったく違うものです。
 
ウツボのラックスはおっとりとしており、抱きかかえてもおとなしくしていますが・・・。
野生のウツボは別名「海のギャング」。
磯や岩礁帯に見られ、一部が海とつながっているような大きな潮だまりにいることもあります。
岩の裂け目などで口を開けているのがよく見られますが、向こうから積極的に噛みついてくることはありません。
ただし、ウツボがいるのに気付かずに手をつっこんだり、つかまえたりすると反撃して噛みついてきます。
歯は鋭く、噛みつくと回転したりするので大変な怪我を負うことになります。
また、岩礁帯などでは割と移動している所にでくわします。
少し体を斜めにして、背びれ(よく分からないですが肉厚な背びれがちゃんとあります)を波打たせ、かなりのスピードで岩の間をするすると泳ぎます。
少し離れた場所へは体を真直ぐにして一直線です。
野生のウツボはかなりアグレッシブです。

ここでラックスの泳ぎ方をば。
上半身は水平なのですが、下半身はだらっと下に垂れた脱力ポーズで垂れた尾をゆっくりと動かして「ほよほよほよ」といった感じで泳いでいます。
抱き上げる時もラックスとて一応ウツボですから、一度そっと触ってから、「ごめんね」と一言声をかけて抱くようにしています(気休め)。
時々、何かいいたげに首の所の背びれをぴくぴく動かすことも。

ミノカサゴのトロンは私たちを見つけると一生懸命こちらに泳いでやって来ますが・・・。
野生のミノカサゴはかなり自分に自信があるようです。
岩礁帯や砂地の大岩の陰に、他の幼魚の群れがある時、その近くに見ることがあります。
ひれに毒があるのは有名ですが、実は背びれだけでなく、腹びれと尻びれにも毒があるのです。
とにかく硬い棘条は毒の針だと思って下さい。
彼らの自身はこの毒の針によるところが大きいようです。
幼魚はそうでもありませんが、体の大きな成魚では、不用意に近寄ると逆立ちするように背びれの棘条をこちらに向けて、ゆっくりと波打たせるように動かします。
まるで
「それ以上近寄ると・・・刺すよ」
というような感じです。
そしてそのまま進んでくるのが怖いです。
そこでトロンというと。
さすがに丸飲み系の肉食魚ですから、両眼視が得意です。
私たちが手を振ると目が「くっ」と寄り目になって、顔をこちらにむけてから、一直線にこちらに来ます。
この瞬間がかなりかわいらしいです。
毒の針をこちらに向けてくることはありませんが、ミノ族が私たちに慣れやすいのは野生でも尻込みしない性質だからだと思われます。

ところでここ数日、サボタージュ気味というより引退気味だったモノドンがショーに参加してくれるようになりつつあるようです。
突然魚が変わったようにあの頃伝説復活の様相、いつまで続きますでしょうか。

ウツボのラックスウツボのラックス

uogokoro(うおゴコロ)

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