2011年07月07日
トリーター:伊藤

コアカの群れから探すべし


いよいよ 7月から金魚のテーマ水槽がスタートしています。
コアカという金魚がいます。
漢字で小赤、体全体が赤いフナの形をした金魚で、生後数か月、全長数cmのものをこう呼びます。
品種としてはワキンにあたり、数ある品種の中で最も大量に殖やされ出回ります。
安価な金魚で、1匹あたり数円(!)から 200円くらいです。
日本で増やされている金魚の品種のほとんどは、愛玩用(ペットとしてかわいがるため)ですが、本種だけは食肉用としても需要があります。
ただし、人間用ではなく、肉食動物の餌用です。
当館でも、一部のナマズ類の主食ですし、水族館に来たばかりの肉食魚(キントキダイ類やアンコウ類など)の初期の餌付けに用いたりします。

それはさておき、お祭りの金魚すくいでよく目にするのが、このコアカです。
ぱっと見、どれも同じに見えるのですが、よく探すと、たまたま生まれてきたものか、他の養殖池から混じってきたものか、変わった特徴を持った個体が混ざっています。
いくつか紹介します。

色。
紅白のもの(更紗)や、体が白いもの、ひれと口元だけが赤いもの(六鱗)などがたまに混ざっています。
また、赤一色でも、ひれの先っちょまで全部真っ赤なもの(猩々)や、黒目がちでうろこが透明がかり、エラがうっすら透けてみえるもの(もみじ)がみつかることも。

尾びれ。
リュウキンのように 2またに分かれていたり、コメットのように長く伸びていたりするものがいるかも。

ここからは少々マニアックで、好き嫌いも分かれますが、

背びれ。
小さくなっているものや、失われているものも。
ちょんと小さいものはソウギョやサメの背びれのよう。
オオサカランチュウのような水平な尾びれの特徴と合わされば、イルカっぽいかも?
一方、背びれのないワキンは、今はほとんど見られない品種「キンランシ」の姿を彷彿とさせます!

しりびれ。
小さくなっていたり、無いものがあります。
しりびれがないと、お腹のふくらみが強調されてフグみたいで、ユーモラスです。

今回、展示している金魚のいくつかは、トリーターがコアカの中から選び出した金魚を育てたものです。
もっともありふれた金魚の中から変わった魚を探し出し、立派に育て上げたら、格別な自分だけの相棒になるはずです。

ワキンワキン

テーマ水槽

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