2011年09月27日
トリーター:足立

天上天下海其処此処


このところ、朝夕などはずいぶんと涼しくなり、秋になったことを実感できるようになりました。
晴れの日の空には、夏の雲の代表、入道雲に代わって、青く高い空に、鯖雲、鰯雲、鱗雲ともいわれる、巻積雲(絹積雲)が遠くまで広がっていたりします。
5,000~ 13,000mという、最も高いところに出現する種類の雲です。
雲の名前を調べてみると、魚に関係する名前のついた雲はこれだけしかないようです。
サバもイワシも日本人にはなじみの深い、いわゆる大衆魚。秋の魚といえば秋刀魚かもしれませんが、残念ながら秋刀魚雲というのはないようです。

また、秋は、花も実も賑やかな季節です。
花といえば、秋の七草。
萩、薄、桔梗、撫子、葛、藤袴、女郎花という、楚々とした野の花たちですが、同じ野の花の中でもかなり強烈な印象のある彼岸花も、秋を代表的する花かもしれません。
その名の通り、秋のお彼岸の頃に咲く花です。
「鱗茎(=球根)」の部分にアルカロイドを多く含む有毒の植物で、食べると吐き気や下痢、ひどい場合には神経性の麻痺を起こして死に至ることもあり、食べると彼岸(死)しかないからこの名がついたという説もあります。
その他、死人花、地獄花、幽霊花などのちょっと怖い別名も持つ一方、サンスクリット語の読みに由来する曼珠沙華という名もあり、こちらは天上の花という意味があるそうです。
でも、どちらにしても、「あの世」の花なのですね。  

名前についてもう少し調べてみると、嬉しいことに、また海につながりました。
ヒガンバナの学名Licoris radiataのLycoris(リコリス)は、ギリシャ神話の女神、海の精の一人の名前に由来しているのだそうです。

天上の世界にも下界にも、探せばどこにも「海」が隠れています。

相模湾大水槽のマイワシ相模湾大水槽のマイワシ

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