2011年10月03日
トリーター:唐亀

“えのすい”の怪物くん


朝の気温がぐっと下がり、涼しいというより肌寒くなって参りました。そろそろ街路の植え込みにメジロの姿が見られるようになるのでしょうか。

10月の“えのすい”は「ホネホネハロウィ~ン」ということで、何だか館内に骨がならんでおります。
テーマ水槽もハロウィンに模様替えです。
オバケや怪物などに所縁があるような生き物を紹介しております。

ところで、普通に展示している生き物も、何かしらの怪物等につながるものがあります。
幾つかご紹介いたしましょう。

ヒュドラ
クラゲの一群の「ヒドロ虫類」のヒドロ、ヒドラがギリシャ神話に出てくる毒龍ヒュドラが元になっています。
ヒュドラは九つの頭を持ち、切り落とされると猛毒の血を噴き出し、すぐに再生してしまうのですが、たった一つだけ再生できない首があり、そこを攻撃されることでとされることでヘラクレスに倒されます。

メデューサ
クラゲの成体をこう呼びます。
ゴルゴン三姉妹の一人で、蛇の頭髪と恐怖で硬直させる目(後に石化させるに変化)を持つ恐ろしい女怪ですが、もともとは大変美しい娘だったとされています。
メデューサはペルセウスに退治されるのですが、頭部から落ちた血のうち、海に落ちたものがサンゴになり、砂漠に落ちたものがサソリになったということです。

サラマンダー
テーマ水槽に期間限定で展示されています。
学名も種名もサラマンダーで、いうなれば「サラマンダーの中のサラマンダー」。
サラマンダーはヨーロッパなどで昔からいい伝えられている精霊の一つで、火の中に入っても平然としているトカゲの形をしたもので、火、水、風、土の四つの元素のうち火を司るとされています。

サソリ
テーマ水槽に期間限定で展示されています。
クモに近いサソリはクモやダニ、ウデムシ、ヒヨケムシなどとともにクモガタ綱に分類されます。
よく「尾」と呼ばれるのは腹部が変化したもので、厳密な尾ではありません。
また、ハサミは顎脚という器官が変化したものでエビやカニのように脚として数えません。
クモと同じく、脚は八本なのです。
「蛇蠍の如く嫌われる」というように、世界中の人々に普遍的に嫌悪の対象になっています。
海サソリなどが先祖で、近縁にはカブトガニがいます。
伝承などでは先ほどのメデューサの血からうまれたり、ギリシャ神話でオリオンを殺す命を遂行し、星座になったりしています。
 
レモラ
聞きなれない名前ですが、発見の小窓“小さな地球”水槽に展示されているクロコバンの属名です。
クロコバンは小型のコバンザメで、マンボウやサメなどの大型の魚に吸着していますが、鰓や総排泄孔などに潜り込んでいたり、船上に上げられたマンボウの体表を吸着したまま這いまわったりと、やや薄気味悪いイメージがあります。
怪物のレモラはもともとローマ、ギリシャに伝承の魚の怪物で、体は小さいものの頭に吸盤をもち船を止めたり進行を妨げたりします。
一匹でもかなりの威力がある上、群れで行動するので厄介です。
紀元前 31年、マルクス・アントニウスが戦争を仕掛けた際、その艦隊を足止めしたのがこのレモラとされています。

まだいろいろ生き物にまつわるお話や伝承はたくさんあります。
ちょっと探してみると、昔からのその生き物と我々との関わりあいが見つけられるかもしれません。
みなさんも、“えのすい”をいろんな角度から見てみてください。
より楽しめると思いますよ。

メキシコサラマンダーメキシコサラマンダー

テーマ水槽

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