2011年11月17日
トリーター:根本

深海に漂うマリンスノー


「ねもっちゃん、深海コーナーでさ、マリンスノーでなんかできない?」
「マリンスノぉー??ああ、クリスマスでってことですか?マリンスノーねぇ・・・」
「できる?」
「まっ、できなくはないと思うけど・・・
 なかなか難しいっすよね~、マリンスノーねぇ~」

「できるよね!?はーい、じゃ決まり♪」
「えぇー!決まりなの?うーん・・・、どーするかなぁ・・・、うーん、マリンスノーかぁ・・・」

確かこんなやりとりで始まった深海のマリンスノー企画。
マリンスノー・・・
これはですね、なかなか手ごわい課題なんです。
響きはステキなんですけどね、でもマリンスノーは水中の目に見える懸濁物のこと、つまりプランクトンなどの生き物の死骸や糞。
生き物を扱う飼育員としては手を出したことも注目したこともほとんど無い分野。
見せるにしてもリアルに水槽で再現したらエライことになります・・・。

「それじゃーコペポーダやアルテミアを降らせるのはどお!?プランクトンだし!」
なんて前衛的なアイデアも出ましたが・・・、
冷静に考えるとただのプランクトン水槽です・・・。
 
あれこれと唸りながら深海チームでミーティングをして、なんとかアイデアをひねくり出して、とりあえず方向性が決まりました。
今準備を頑張っているところです!

その中で、マリンスノーが降りゆく中深層の魚を紹介しようと思っています。
中深層には、「The 深海魚! 」というような顔面を持つ魚が多いのです。
チョウチンアンコウやホウライエソ、ワニトカゲギスなどなど、これらは誰が見ても「深海魚!」と答えてくれることでしょう。
しかし!これらの魚はまず生きて上がって来ません。
深海に網を下して引っぱると入って来るのですが、生きているものはほとんどいません。
したがって標本室で標本となって眠っています。

今回せっかくなのでこれらの標本を出したいと思います!
ただクリスマスですからね!
ここは普通に出すだけじゃ~面白くないので、漆黒の深海を彩る生きたイルミネーション“発光”にスポットを当てることにしました。
まだこれからなのでどんな感じにできあがるのか分かりませんが、発光する深海生物の魅力をお伝えできればと思います。

これら“えのすい”の秘蔵っ子深海魚たちを含め「深海に漂うマリンスノー」の展示は 12月1日からです。                         

秘蔵っ子深海魚秘蔵っ子深海魚

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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