2011年11月19日
トリーター:唐亀

鬼が笑う


来年の話をすると鬼が笑うと申しますが、テーマ水槽などを担当していますと、年度を越して解説文等を作成することになります。

来年の干支は「辰」。
辰は蜃気楼の「蜃」から派生したもので、それこそ蜃気楼の如くゆらぎ立ち上るさまを表します。
中に「虫」があることから何かしらの生き物と関わりがつくと想像できますが、これが幻を吐く龍を蜃(しん)と呼んだり、日本では、二枚貝のハマグリが蜃気楼を作ると信じられたため、ハマグリのことを蜃(しん)と呼んだりします。
干支では神聖な龍で表されます。

東洋の龍は主に水を司り、聖なる存在です。
その姿は「頭は駱駝、角は鹿、眼は兎(ないし鬼)、身体は蛇、腹は蜃(しん)、鱗は鯉、掌は虎、耳は牛」に似るとされています。
西洋のドラゴンは悪の象徴として描かれる事が多く、英雄に倒される話が多い敵役が多いようです。
龍は中国では帝の象徴とされていました。
のどに一枚逆さに生えた鱗があり、それに触れるとたいへん怒り狂うとされ「逆鱗に触れる」という言葉が龍から生まれたのはみなさんもご存知だと思います。

では、龍の指は 1本から 5本と幅があるのをご存知でしょうか。
日本では 3本ないし 4本の場合が多いのではないでしょうか。
龍の指は描く人間の位によって「描いて良い数」があるのです。
完全体の 5本は帝だけが描くことができました。
今ではそれほど重要に考えられていないようですが。

実は江の島や鎌倉周辺には龍の伝説があるのです。
この周辺を守ってくれている「五頭龍のお話」は大体こんな感じです。

江の島と龍~五頭龍の話~
昔、鎌倉に「五頭龍」という悪い龍が住み着いていました。
山を崩し、洪水を起こして田畑を駄目にし、時には火の雨を降らせて人々を苦しめ、あげくには人の子供を人身御供として要求するようになり、ますます悪行を重ねていました。
欽明天皇 13年4月12日。
黒雲が現われ、地震が起きました。
地震は 10日続き 23日にぴたりと起こらなくなりましたが、突然海に火柱が上がり吹きあげられた岩から「江の島」ができました。
すると、新しくできたこの島に、美しい弁財天がお供を連れて舞い降りました。
その姿を見た五頭龍は、一目で弁財天を気に入り、求婚しました。
しかし、弁財天は「人々を苦しめ、あまつさえ子供を食べるような悪い龍の妻にはなりません」と断ります。
諦めきれない五頭龍は次の日、心を改めることを弁財天に誓い、それからというもの、あらゆる天災から人々を守りました。
しかし、段々体が衰え、自分の最後を悟った五頭龍は、弁財天に「これからは山に変じ、村をお守りいたしましょう。」と伝え、江の島に向かって横たわり山に変わりました。
五頭龍のちょうど口の所にあるのが龍口寺なのです。


来年の一月のテーマ水槽は恒例の干支つながり。
龍やドラゴンをあつめます。
その中の「水竜」のこども。現在自宅におるのですが、頭でっかちでかわいらしいことこのうえありません。

江の島江の島

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