2011年12月31日
トリーター:杉村

お魚も年末の大掃除?!


みなさん、こんにちは!
きょうは大晦日、今年も残すところあと 1日となってしまいました。
みなさんは年末の大掃除は、終わりましたか?
私は、おとといやっと終わりましたよ。
息子と一緒にベランダ掃除と部屋の片づけ・・・。
私たちトリーターは、決まったお休みが無いのでなかなかまとまって大掃除ができません。
その休みの時を・・・って、自分の話をしてどうするの!!

そんなこんなで年末のお話から、本来ならば恒例の「ゆく年」、「来る年」ネタで干支にまつわる魚の話題でもと思いましたが、先日、朝の水槽点検中に相模湾大水槽で年末?大掃除に大忙しの魚を見つけたので、こちらを紹介します。
大忙しな魚は「クマノミ」です。
何に大忙しなのかというと、それはお部屋の大掃除ではなく「卵」の大掃除(お世話)です。
水族館に入って、フォトコーナーを過ぎてすぐのところにある相模湾大水槽の上側をのぞくことのできる場所です。

どんな卵の掃除なのかをお話しする前に、クマノミたちは不思議な生態をしているので、ちょっと紹介します。
その生態とは、性転換することです。
生まれた時は決まった性を持たず、イソギンチャクを中心につくる群れの中で一番大きな個体が「メス」になり、その次が「オス」となります。
もしここで、群れの中のメスが死んでしまうと 2番目に大きいオスがメスに性転換し、 3番目だった未成熟の個体が成熟してオスになります。
オスからメスに性が変わることを雄性先熟といって、未成熟の個体たちは精巣組織と卵巣組織をともに含んでいる両性生殖腺を持っていて、条件に応じて先に精巣から成熟していきます。
クマノミのことは、あの「ニモ」の親せきとして多くのみなさんが知っていると思いますが、彼らにはこんな隠された秘密があったんですよ。

さてさて、ここからが本題。
クマノミは、産卵が近くなると自分の棲んでいるイソギンチャクの触手を咬み始めます。
咬まれたイソギンチャクは、たまらず触手をひっこめます。
触手が縮んで見えた岩の壁にオレンジ色の卵を数百個産みつけます。
卵は、主にオスが一生懸命、胸びれを動かしてお世話をします。
胸びれを使って新鮮な海水を送ることで、ゴミを飛ばしたり、細菌から守ったり、酸素を供給しています。
時には、口も使ってお掃除しています。
メスはオスに卵の世話を任せ、次の産卵の為にたくさんの餌を食べて栄養を蓄えます。
1週間ほどで子どもたちの眼ができてくると、卵はオレンジ色から銀色へと変化していきます。
さらにふ化が近くなるとメスも加わって、再びイソギンチャクの触手を咬み始めます。
これはふ化する子どもたちの邪魔になる触手をどけるためです。
そして産卵から 10日ほど経った日が沈むころ、子どもたちはふ化していくのです。

今はまだ、卵はオレンジ色をしていて観察しやすいので簡単に見つけられますよ。
ぜひ!この年末年始に“えのすい”へ行こうと思っているみなさん、来る予定のみなさん!!
あと 1週間程度は観察できると思いますので、クマノミの卵の大掃除をお見逃しなく!!

今年は、震災から始まり政治や経済、その他いろいろな面で日本にとって大変な 1年でした。
どうか 2012年が、日本にとって、みなさまにとって良い年でありますように。

それではみなさん、良いお年を!!
2012年、元旦にお会いしましょう!!

クマノミクマノミ

相模湾ゾーン

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