2012年01月21日
トリーター:今井

オオカミとコウイカ


「狼は草丈三寸で身を隠す」とも云われます。
コウイカもそれを彷彿させる動物です。
展示水槽のレイアウトは砂しかありませんが、わずかな砂面の凸凹にも体を同化させて隠れてしまいます。
体表には発達した色素細胞を持ち、一瞬で体色を変化させカモフラージュします。

また、砂にも潜ります。
逃げ足には自信があるのでしょう。いつもは水中にポッカリと浮かんでいます。
相模の海ゾーン“旬の水槽”では、本日より「コウイカ Sepia esculenta」を展示しています。
貝類と同じ軟体動物のコウイカは、背の内側に退化した殻である「甲」を持っています。
炭酸カルシウムでできた「甲」には、細かい溝がたくさんあります。
コウイカが水中でジッとしていられるのは、ここに空気をためて浮力を調節しているからです。
また、大量の墨を吐くことから、「スミイカ」とも呼ばれます。
属名の「Sepia」は、この墨から絵の具のセピアをとったことに由来します。

冬から春に、沖合から海岸寄りにやってきます。
この時期は肉も厚く、甘みもあって、底引き網かカゴ漁で多く漁獲され、コウイカの“旬”となります。
近年は擬似餌の餌木(えぎ)を使った釣り方で、面白いように釣れるため、より親しまれるようになりました。
夏場は、人が立てるほどの浅瀬にもいますので、海水浴で出遭うこともあるでしょう。
カモフラージュが得意なので、見過ごしてしまいそうですが、水中メガネで砂地のところをよ~く、かつジ~と見ていると、コウイカの輪郭が浮かび上がって見えてくるんです。
意外に見つかるもので、はじめての人は感動しますよ!!(その前にフグやウシノシタに出遭うかも知れませんが、それも楽しみ!)

コウイカコウイカ

相模湾ゾーン

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