2012年05月31日
トリーター:植田

今年は 5年に一度の海岸動物住民調査の年


当館では、旧江の島水族館時代からおこなっている野外調査があります。当館の地先、江の島の海岸動物の住民台帳作りのための調査です。
江の島の海岸といっても範囲は広いので、島の特徴的な海岸環境から 6地点を選んで、その地点の潮間帯に生息する、肉眼で種類の判定が可能な程度の大きさの動物たちの種類調べをおこないます。
潮間帯は、潮が 1日 1回から 2回満ち引きするところのことですね。

この調査では、4月から 5月の最も大きく潮が引く大潮の日を 4日選んで、最干潮時刻の前後 4時間程度を調査に充てました。
現地では、気温や波打ち際の水温など環境項目の計測をおこなった後、観察者 4名ほどで潮間帯の上部・中部・下部に区分してそれぞれの場所で見つかった生きものの名前とおおよその生息密度を記録していきます。
現地で種類の判別ができない難しい種は、一部の個体を採集して後日改めて調べることにしています。

この調査は 1987年に始めて、1992年、1997年、2002年、そして 2007年に続き今回で 6回目となります。
これまでの調査では、第 1回目( 1987年)が 83種で最も種数が少なく、第 4回目( 2002年)が 196種と最も多くの種が生息していました。
また調査の回を重ねるにつれて生息種数は多くなる傾向が見られたのですが、最近の 5回目は 183種に若干減少しています。
江の島の海岸環境の現状をとらえるのに、この調査は意味あることと考えているのですが、さて今回の調査ではどのくらいの種が見つかるでしょうか。
来年の春には報告を纏めて発表する予定です。

なお前回の調査結果はホームページの中の「研究発表」のコーナーの 2008年分に「江の島の潮間帯動物相-Ⅴ」という表題で掲載されています。

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