2012年08月17日
トリーター:根本

今週のおすすめ!


今年の夏、新江ノ島水族館に日本の深海調査研究の道を切り開いて来た有人潜水調査船「しんかい2000」がやってきました。
運航が終了して 10年、その間、この船を運航してきたJAMSTEC横須賀本部の整備場の一角に展示されていました。
JAMSTECの一般公開などで目にされた方も多いかもしれませんね。

そして昨年より「海洋科学技術の意義や役割を国民・社会の理解を深めることを目的に、同船を科学技術分野の歴史的資料として外部での展示」がJAMSTECで検討され、公募がかかり、応募した施設の中から、みごと“えのすい”が選ばれこの夏展示がスタートしました。

我々もJAMSTECの深海調査によく参加させていただくのですが、この「調査」自体にも男心をくすぐるワクワクとドキドキが詰まっています。

白くまぶしい大きな調査船!
そこで働く何十人もの乗組員の方々!
二週間から一か月陸上に上がらない日常から逸脱した生活!
科学の結晶である潜水船やロボットでの潜航!
そして運航を担う男たちの汗と研究者の努力と根性!

この非日常の世界と、未だ誰も知り得ないことへ挑む興奮で、乗船中我々はもうメロメロです。

常々この興奮をどうにかしてみなさんに伝えられないかと、写真や映像などで展示を考えてきましたが、まさか潜水船の本物がくることになるとは思いませんでした・・・。
いまだに「凄いことが起きたなぁ」と閉館後に眺めたりしています。

まだまだスタートしたばかりですのでスタンダードな展示ですが、アクの強い深海好きが居る水族館ですので、後々マニアックな展示も始まると思います!
深海好きの方は乞うご期待!
我々も考えるのが楽しみです。

そして、前置きが長くなりましたが、ここからが今週のおすすめです。
この展示に合わせてJAMSTECからお借りしている物がいくつかありますが、その中でも超貴重な物を紹介します。

その名は 白いスケーリーフット

「鉄のうろこを持つ」と言う生物界の常識を覆す物凄い特徴を持つ「スケーリーフット」ですが、その鉄が無いバージョンのスケーリーフットが 2009年の航海で発見されたのです。
そしてこの航海、なんと私も乗船していました!
私は後半から乗ったので採集した時には船には居なかったのですが、乗船した際に船上でこの生きた「白いスケーリーフット」を目撃し、前半の研究者に代わって船上で飼育をおこなってきました。
ピンポン球くらいの大きさの巻貝で、弱っているのか何かに付着しようという動きは見せませんでしたが、生きているようすを写真に収めることができました。
この写真はJAMSTECでもいろいろなところで使っていただいており、私の密かな自慢になっています。

何はともあれ、本物を見ることができる滅多に無いチャンスです!
夏が終わるとJAMSTECへと帰っていってしまいますので、この夏ぜひご覧ください!

スケーリーフット標本スケーリーフット標本

深海Ⅱ-しんかい2000-

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