2012年09月01日
トリーター:岩崎

魚屋さんのたらい


子供の頃、母といっしょに魚屋さんへ買い物に行くのが楽しみでした。
魚屋さんの大きなたらいの中には、たいていドジョウが泳いでいて、「じーっ」と眺めていると、「もってきな!」とドジョウをお土産にくれるのです。

そんな魚屋さんのたらいの中には、時々不思議な生き物が入っていることがありました。
たくさんの脚でわらわら動くその生き物はカブトガニ。
指でつついたりしながら夢中で観察していたことを記憶しています。
今では絶滅危惧種の天然記念物として保護されているカブトガニですが、当時はまだ市場で流通することがあったようです。
食用といったわけでなく、きっと魚屋さんは買い物のお伴でやってくる子供たちを喜ばせようと仕入れていたのでしょう。

2億年前からほとんどその姿を変えていないカブトガニの仲間。
汚染の少ない豊かな川と海がないと生息できないため、近年世界中の海でその数を減らしているそうです。
かなり生命力の強い生き物なので、生息環境が守られていけばまだまだ回復が見込まれます。
はるか昔からその命をつないできたカブトガニ。
これからも化石としてではなく、生きた姿をこの地球上で見せ続けてほしいですね!
魚屋さんのたらいの中で、子供たちを夢中にさせるくらい身近な生き物として・・・。

“えのすい”では 9月 1日から 企画展「命は海からやってきた~化石になった生物たち~」 を開催しています。
“生きた化石”といわれるカブトガニの仲間、アメリカカブトガニも展示していますのでぜひご覧ください。

アメリカカブトガニアメリカカブトガニ

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