2012年12月21日
トリーター:唐亀

ハナジロという名のイシガキダイ


今年は急に寒くなった印象がありますが、道路わきの植え込みで遊ぶメジロの姿をすでに見かけるようになりました。昨年は年が明けてから見かけるようになったと思うのですが。

かつて相模湾大水槽にはモノドンより大ぶりのイシガキダイがおりました。
通称「ハナジロ」(主にうおゴコロのダイバーが個体識別の為に便宜上呼んでいる名です)。
餌を横からくすねていくのが得意で、フィンズのカワハギの餌をイシダイ連合と競合して横取りしようとして、ダイバーと熱いバトルを繰り広げていた個体です。
調教を試みたこともありましたが、餌を横取りする時の餌の取り方が一行に消せず、落ち着きもないために断念したこともありました。
それでいてトロンの餌を狙ってひれを引っ張ったり、横から「ゴッ!」という威嚇音を出して驚かせたりと悪さばかりしていました。

このハナジロが調子を落としたのが夏が終わった頃。
目が両方とも白くなってしまいました。
一度淡水浴でハダムシ退治をしてもらったのですが、目の白濁は治りませんでした。
視力を失っても長らく大水槽でくらしていたためか、餌日にはちゃんと餌を食べていましたが、突然半身が浮いてしまうようで、背びれと尾びれが水面から出てしまうようになりました。
このまま大水槽に置いておく訳にもいきません。
バックヤードに収容してようすを見ることにしました。

はじめはやはり浮き気味にしていましたが、少しづつ泳げるようにはなってきました。
しかし、いかんせん餌を食べません。
慣れない環境なので、いろんなところにぶつかったりします。
口元に餌を持っていっても、びっくりして逃げてしまうのでなかなか餌をあげられないため、さすがに痩せてきました。
さすがにどうなるのか想像できなかったのですが、そっと体に触れるようにしてみました。
触られることに慣れてしまえば、驚くことも抑えられると思ったのです。
大水槽にいた時には、手のひらで押しのけても平然としていましたから、大丈夫だと踏んだのですが、これが大当たりでした。
さわることに対してはすぐに慣れてくれました。
続いて体に長めの餌をそっとあてがい、ゆっくり口元に持っていくと呼吸の流れで口に入り、そのまま食べてくれました。
はじめは不安定でしたが、今では指に噛みつかんばかりの勢いで食べるようになりました。
大水槽ではどちらかというと邪魔者扱いをしていましたが、それだけ関わりあいもあったことで何となく気になってしまい、一安心といったところです。

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