2013年01月07日
トリーター:杉村

赤ちゃんが生まれたよ~!!


新年早々、おめでたいことがありました!
深海Ⅰで展示飼育中の「ボタンエビ」から赤ちゃんが生まれました!!

生まれた赤ちゃん(稚エビ)は親と全く同じ「エビ」の形をしています。
・・・当然でしょ!・・・と、多くの皆さんが思うかもしれませんが、海にすむエビの仲間の多くは、まずノープリウス幼生期というミジンコみたいな子どもになり、その次がゾエア期、その次がメガロパ期、そしてやっと稚エビになってからおとなになります。
(中には、ノープリウス幼生期などの無い種もいますが)
イセエビなどは、また特殊でフィロゾーマ期という宇宙人みたいな子ども時代を過ごしてから、あのゴツゴツしたかっこいいエビになります。
エビとは、なんとも大変な子ども時代を過ごすのです。

ボタンエビは、子どもの観察によく見られるザリガニと同じで稚エビがふ化するタイプなのです。
さらに、このボタンエビ、まだまだびっくりの生態をしています。
なんと、日本特産種!
太平洋側の水深 300~ 500mの深海で生活している深海エビで、し・か・も・・・
ふ化して成長していくとまずは「オス」になります。
そして、さらに成長すると「メス」になっていくので、大きな個体はみんなメスなのです。
これを・・・雄性先熟・・・といいます。
と、いうことで今回生まれた赤ちゃんたちは、いずれみんな「男の子(オス)」になっていくわけです。
おもしろ生態の深海エビですね!

また、ボタンエビといえば、「甘エビ」とならんで甘くておいしいエビの代名詞のようになっていますが、よく流通している北海道産のボタンエビは、実は「ボタンエビ」ではありません。
彼らの本名は「トヤマエビ」です。
ボタンエビとの違いは簡単!
しっぽに縞模様がはいっているところです。
正真正銘のボタンエビは、縞ではなく、赤い斑点模様です。
このボタンエビは、今では数が少なくなってきていて、あまり流通しなくなってきているので、区別のつかないみなさんも多いようです。

生まれた赤ちゃんたちは、深海Ⅰの親ボタンエビと同じ水槽に、透明なケースに入れて展示飼育しています。(生まれた赤ちゃんたちのほとんどは、バックヤードで飼育しています。)
深海エビで強い光にはとても弱いので、水槽はうす暗いですがよ~く観察してみて下さい。
大きさは 5mm程度で非常に小さいですが一丁前に「エビ」していますよ。

ボタンエビは、とても成長の遅いエビです。
ゆっくりと育てていきたいと思います。

ぜひ、見に来てください!

ボタンエビの赤ちゃんボタンエビの赤ちゃん

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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