2013年01月28日
トリーター:石川

のど越し


ペンギンたちへ魚を与えているとその食べ方が 23羽 23様なのに気づきます。
人間も人それぞれ違いますから、あたりまえといえばあたりまえなのですが、普通、魚を丸のみにする生物は、ウロコに逆らわず頭から飲み込むという基本があると思います。

理屈も至極あたりまえに想像ができます。
のどにうろこが引っ掛かるのが嫌だから、もしくはのみ込みにくいからと考えられます。

私たちもさまざまな食べ物を食べる時に、食感とかのど越しによって好き嫌いが出てきたり、癖になってしまったりすることはないでしょうか?
また、年齢によっても違ってくるかもしれません。
麺類が好きだったのに、すすって食べるとむせやすくなったとか、今まで好きだったものが食べられなくなった、などといったこともあるかもしれません。

当館のペンギンの中にも年齢が高くなるに従って飲み込む速度が徐々に遅くなっていく個体がいます。
「モンチ」(羽のタグ:黄白)です。
今は 1回にカタクチイワシを 30本くらい与えているのですが、与える速度を「モンチ」に合わせ、徐々にゆっくり渡してあげることでスムースに飲み込むことができます。
このペースを崩すと本数が減ったり、途中で一休みしてしまいます。

またサンマを食べるのが下手なペンギンもいます。
「コハク」(羽のタグ:オレンジ)です。
食べたいのですが、うまく嘴で頭側へ運べず、右に左に、くちゃくちゃしているうちに落としてしまい、他のペンギンに獲られてしまったり。挙句は無理やり飲み込もうとして途中で半分に折って飲みはじめたまでは良いのですが、途中でつかえてにっちもさっちもいかなくなり、手伝おうかとサンマを引っ張ろうとすると、獲られるのが嫌で翼チョップをしてきます。

そしてのど越しを楽しんでいるのでは、と思うようなペンギンもいます。
「ハク」(羽のタグ:赤白)です。
普通は食べやすいように頭から渡すと、そのまま飲み込むのですが、時々わざと逆にして、尾からのみ込んだりします。

食べ方、歩き方、羽づくろいの仕方など、一見どのペンギンも同じように見えることでも、個体ごとに癖や、もしかしたら楽しみ方などがあるかもしれないという目で見てみると、新しい発見があるかもしれません。

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ペンギン・アザラシ

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