2013年11月22日
トリーター:武藤

マリンと採血。

バンドウイルカ「マリン」バンドウイルカ「マリン」

みなさんこんにちは。
きょうは飼育動物の健康管理の中で、とても重要で欠かせない「採血」についてお話ししようと思います。

私たち人間でもそうですが、身体の健康状態の情報を得るために血液データというものはとても参考になると共に重要なものです。
しかし、血液を採取するために身体に針を刺すというのは、大半の人は少なからず良い気持ちはしない、むしろできることなら避けたいものです。

それは動物たちも例外ではありません。

ですが、水族館で飼育している以上は動物たちには健康でいてほしい。
そのためにはその動物の身体の情報を知らなければならず、どうしても健康管理から採血というファクターは外せないのです。

新江ノ島水族館では、その検査目的の採血を毎月 1回ほどの頻度で実施し、鯨類の採血は尾びれの血管より採取する方法でおこなっています。
私の担当するバンドウイルカの「マリン」という個体も、もちろんそのペースで実施するのですが、この「マリン」がなかなかの採血嫌いなのです。
嫌いといっても毎月 1回はおこなうものだと「マリン」自身も理解しているようで、毎回最終的には血液を採らせてくれるのですが、できれば「マリン」もやりたくないという気持ちがあるので、その表れなのか小さな抵抗をするのです。

「採血」というものが本当に心底嫌なのであれば、人間よりも身体が大きく遥かにパワーのあるバンドウイルカですから、身体を捩る、尾びれを持たせない、もしくは尾びれを振るなど、採血から脱却する方法はいくらでもあります。
しかし、「マリン」の場合は採血針が尾びれに刺さる際に、少し尾びれをずらすという行動を繰り返します。仕方なく再度やり直そうとするとゆっくりと尾びれは私に預けてくれます。
では、仕切り直して採血・・・と思いきやまた尾びれがずれます。
しばらくはこれの繰り返しです。
そして最終的には採血をおこなわせてくれます。

毎月おこなう中で、数回に 1度、針を刺しても全く動じない時があります。この時は針が刺さっていることに気付いていないかのような静けさです。
もちろんその時の採血が終わった後には、私はいつも以上に「マリン」を褒めます。
これでもかと褒めます。
が、次の採血の時には尾びれをしつこくずらしてくることがあります。



これまでの「マリン」との採血から、私は思うことがあります。


「マリン」は気分屋なのだと・・・。

イルカショースタジアム

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