2014年04月24日
トリーター:石川

春眠暁を覚えず

暖かくなってついつい寝坊しがちなきょうこの頃・・・
10周年を迎えた“えのすい”( 10年というと短いようで・・・“えのすい”前のワシントンヤシも気がつけば、“えのすい”より背が高くなっています)。
でも旧館以来の思いであった、ウミガメたちの展示が完成し、今までバックヤードに居たウミガメたちもやっとみなさんにご覧いただけることとなり、広く暖かいプールで思い思いに寝ているカメたちを見ていると、ホントによかったなあとつくづく思うところであります。
大水槽のクロ(ちゃんです!っていいたくなるのですが・・・)は今のところ引き続き大水槽でご覧いただけます。最近はみなさんの見やすいところで寝なくなったようで、泳いでいる姿をご覧いただくことが多くなったように思います。
ぜひ気持ちよく寝ているカメたちに癒されにきてください。

さてペンギンたちの夜寝ているところというと、お泊りナイトツアーのみなさんにしか見ていただけないので、なかなかようすがわからないと思います。
ペンギンたちはお昼寝もしているので、寝ている姿だけを見るのであれば 12時過ぎあたりにまったりしているペンギンがお昼寝時間ということになるとおもいます。
ペンギンたちは夜、基本的には仲のいいもの同士で一緒に決まった場所で休みますが、昼寝の時は 1羽でいる時もあり、夜寝る場所ではない場合もあるので、やはり夜の“寝る”とお昼寝はちょっと違う意味合いなのだと思います。
縄張りが決まっているため、夜は同じ場所で寝ます。
朝はその周辺に排泄物があり、朝の見回り時に昨夕からの体調を知る指標になります。昨夜はちょっとお腹を下しているのかな?など事前に予測して体調を見ることができるのです。
寝る姿はさまざまというか、ほぼ 3パターンです。
腹這いで寝る、立って寝る、立っているようで尻もちを付いて 3点で寝る、いわば座って寝ている状態の 3つです。
目はちゃんとつぶっています。
寝ている時間は・・・
結構長くて、通常の営業時間が終わった 17時頃から翌朝日が昇り、屋上の明かり取りから光が入る頃 6~ 7時頃まで、時々夜に起きているペンギンもいますが、基本はずーっと寝ているようです。
よく鳥目なんていいますが、暗くてもちゃんと見えていますので、夜行動できないわけではないですが、野生のフンボルトペンギンでも夜行動する話しは聞いたことがないので、基本は昼行性のようです。
また、ペンギンたちはある程度の警戒レベルを超えると、当館ではプールへ逃げます。
その脅威が過ぎない場合などは泳ぎながら寝ることもあります(初めて入れた場所、普段起こらないことが起きた時など)。はじめて花火大会を経験した個体が驚いてプールから上がってこない時など稀にそういった行動を見ることがあります。
海鳥などは大海原で漂いながら休むこともあるので、本来は持っている能力なのだと思います。
寝ているようすはまちまちで、爆睡しているペンギン、コックリコックリしているペンギン、仲の良いペンギンに寄りかかって休んでいるペンギン、ウトウトして薄眼を開けたりしているペンギンなどなど個体や状況によっていろいろです。
休んでいる時は首をのばしていないのでみんな俗にいうペンギン体形です。
お昼のまったりした時間などに来られた時はウトウトするペンギンたちにも癒されてみてください。

あと・・・
今なら夜でも寝ている姿を観察できる鳥がいます。
最初にお話ししたワシントンヤシを観察してみると今は鳥たちのマンションになっています。
その正体はハクセキレイ。
冬場に集団塒(ねぐら)を設けて夜になるとあちこちから集まって同じ木や岩、ビルの窓などで寝る姿が時々ニュースになったりします。
水族館のまわりで尾が長くてチョコチョコ歩く白っぽい小さな鳥をご覧になった方は多いと思います。
日本の鳥類の中では勢力を伸ばしている種のようです。
基本的には冬鳥だったのですが、最近は周年いる個体も多くなっているようです。
5月頃から繁殖期になるようで、繁殖期になると番(つがい)になるので、群れて寝ている姿が見られるのももう少しかもしれません。
番になると仲良く集団でいたにも関わらず、非常に縄張り意識の強い性格で、仲間同士で激しい喧嘩をする鳥としても有名です。
40年くらい前はキセキレイという黄色っぽい種類の方が良く見られ、ハクセキレイを見るのは稀だったように記憶しているのですが、年々その領域を伸ばし、今ではキセキレイを見る方が稀になってしまったように思います。
ハクセキレイは地域によって年に 2回の繁殖をするものがいたり、同じセキレイの仲間では他種との自然交配も行われている種類もあるようで、フンボルトペンギンが年間 3回の繁殖をしたり、マゼランペンギンとの自然交配があるという話があったり、容姿や環境の違う鳥類ですが、類似する生態も多く、よく観察してみるとおもしろいかもしれません。
ワシントンヤシの古い葉がとれた根本に一羽一羽が入り込んでいる姿はなんとなく微笑ましいです。
まだ見られるかどうか・・・
通り過ぎる時があったら 10年の月日を思いつつ、見上げてみてはいかがでしょうか?

ペンギン・アザラシ

RSS