2014年06月12日
トリーター:鈴木

イルカ・クジラ雑学 2 ~「鯨」がつく言葉たち~

ハナゴンドウ「ビーナ」ハナゴンドウ「ビーナ」

こんにちは、鈴木です。
今回も雑学シリーズという事で以前から気になっていた鯨がついた言葉(慣用句やことわざを含む)について書いてみます。
では早速次の文章を読んでみてください。

ある日、Sさんが海で船に乗っていた時のことです。
辺りが急に暗くなり、真黒な雲がみるみる広がり嵐になりました。鯨鵬な船なので安心だと思っていましたが、鯨浪にのまれ操舵のきかなくなった船は、敢え無く船尾を岩場にぶつけ鯨音の如く鳴り響いた音と共に転覆してしまいました。海に投げ出される瞬間、自分の葬儀であろう鯨幕が走馬灯のように過りました。
・・・気が付くと島に流れ着いたSさん。辺りを見渡すと木々が生い茂りいかにも、虎伏す野辺 鯨寄る浦な島でした。
仕方なく誰か住人はいないかと当てもなく森に入るSさん。現在何時なのかも分からず、辺りがすっかり暗くなったころ、微かな光と共に鯨波の声が聞こえてきます。
恐る恐る光の方へ向かうSさん、そこには火を囲い何十人もの人影が見えました。
助かった! と、鰯網で鯨を捕ったような気分で近づくと、なにやら、男たちが酒を飲み交わしています。その飲みっぷりは、まさしく長鯨の百川を吸うが如し。そして、よくよく見れば屈強な男ばかりで、お世辞にも人が良さそうには見えず、鯨鯢な面構えばかりが揃っています。さらに、どうやら酔って一部で揉めているようすです。
鯨の喧嘩にエビの背が裂けないよう、息を潜めその場を立ち去るSさんでしたが、その中の一人が、後を付いてくるように歩いてきます。まさか気付かれた!?と思いながら歩幅を広げるSさんでしたが、男はあさっての方角へ走り出しました。
あー、よかった、鯨に鯱ではないのか・・と胸を撫で降ろした瞬間、その男はSさんの前に立っていました。うわーぁぁぁ!!
ぁぁぁ・・・・ピピピピ、ピピピピ♪あれ?今回は随分と機械仕掛けな鯨音? いや、朝を告げる目覚ましのアラーム音でした。良かったー夢だったのか・・と胸をなでおろしました。
朝から鯨鯢の顎にかくような夢をみたSさんでした。ちゃんちゃん(^^)/

えー、いきなり意味不明な文章をすみません。
もちろん作り話です。
鯨がつく言葉をこれでもかとふんだんに使って強引に物語風に書いてみましたが、全くセンスがないですね・・。さらに、おそらく使い方が間違っているものもあるかと思います・・。まあ、あくまで読んでいただく導入ということでご了承ください。m(__)m
本題はこの後の言葉の解説ですので、この文章ではなんとなくこれらの言葉に興味を持っていただけたら私としては及第点です。
では、文章に沿った順でそれぞれの言葉について解説していきますね!

【鯨鵬(げいほう)】  
大きいこと、または、大きいものの例えです。鵬(ほう)とは中国に伝わる巨大な伝説の鳥のことで、鳳とも書きます。鯨に鵬、どちらも大きいということでしょうね。
【鯨浪(くじらなみ)】 
大波のことです。鯨涛(げいとう)という言葉もこれと同じ意味のようです。
【鯨音(げいおん)】
寺院などにある釣鐘(梵鐘)の音のことです。ちなみに梵鐘(ぼんしょう)は鯨鐘(げいしょう)とも呼ばれるそうです。鯨吼(げいほう)という言葉もこれと同じ意味のようです。
【鯨幕(くじらまく)】
葬儀の際、式場に張る黒白の縦じまの幕のことです。鯨の黒い皮と白い脂肪部分とが、黒白と連なるところから、この名前がついたといわれています。
【虎伏す野辺 鯨寄る浦(とらふすのべ いさなよるうら)】
野生の虎が生息する原野、鯨(いさな)が寄ってくる海辺といった意味から、人跡稀な、未開な土地のことをさします。それにしても、虎と鯨が一緒に見られる場所なんて、わくわくしますね!
【鯨波の声(ときのこえ)】
鬨(とき)の声(「えいえいおー!」など士気を鼓舞するために、多勢の人が一緒に叫ぶ声のこと)の別の書き方ですが、他にも多数の人が一斉にあげる声、雄叫びなど諸説あるようです。単に鯨波(げいは)と書いても同じ意味です。
【鰯網で鯨を捕る(いわしあみでくじらをとる)】
鰯を獲る網に大きな鯨がかかるということから、予想せず大きな獲物や収穫を得ること、思いがけず幸運に恵まれたりすることをさします。
【長鯨の百川を吸うが如し(ちょうげいのひゃくせんをすうがごとし)】
まるで大きな鯨が多くの川の水を次から次に飲み干していくようなイメージで、酒の飲みっぷりが凄まじいさまを例えた言葉です。
【鯨鯢(げいげい)】
悪の親玉や大悪人といった意味です。この場合、鯨はオス鯨、鯢はメス鯨という意味のようです。小さい魚を飲みこむことから、悪人にたとえられてしまったようですね・・。単純に‘クジラ’をさす言葉でもあります。
【鯨の喧嘩にエビの背が裂ける(くじらのけんかにえびのせがさける)】
力を持った者同士の争いに、弱い者が巻き込まれ被害を受けることです。
鯨の喧嘩にエビが巻き込まれたら背が裂けるだけじゃ済まされないでしょうね・・。
【鯨に鯱(くじらにしゃち)】
シャチが鯨を襲うようすから、どこまでも付きまとって相手に被害を与えることです。
シャチにしたら転じたとはいえ不名誉な言葉ですね・・。
【鯨鯢の顎にかく(げいげいのあぎとにかく)】
諸説あるようですが、鯨のあごに引っ掛かり飲み込まれそうになったという言葉から、九死に一生を得る様な体験をさすようです。海で危険な目に合うといった意味もあるようです。

如何でしたか?
読んでいただいたみなさま、本当にありがとうございました。そして大変お疲れさまですm(__)m
難しい内容ですみません・・。
こうやって見てみると、これらの言葉がクジラのさまざまな特徴や生態、印象を元につくられているのが分かりますね。まだまだ鯨をつかった言葉はたくさんありますが、中でもやはり「大きい」や「黒い」といったことから創作された言葉が多いように感じます。今も昔も鯨に対するイメージは共通ですね。というより、それらを受け継いできたという方が正しいでしょうかね。
クジラと日本人の歴史はとても深く、奈良時代( 712年)に成立した日本最古の歴史書である古事記にはクジラが登場しています。さらにそれより遥かに遡ると、縄文時代(約 4000~ 5000年前)には既にクジラやイルカを獲っていたようで、それらの骨が遺跡などから見つかっています。よく聞く言葉ですが、まさしく日本人はクジラ(イルカも含む)とともに生きてきたといっても過言ではありませんね。
日本の長い歴史の中で、鯨(捕鯨を含む)を通じてさまざまな文化が生まれており、現在まで伝承されてきています。これは紛れもなく日本人がクジラとともに歩んできた歴史の証です。これらの言葉もそんな大切な文化のひとつです。
現在のクジラやイルカの基本形が誕生したのが約 2500~ 2000万年前といわれていますが、人類より遥か昔からこの地球に棲み、そして、日本人の歴史の一端を担ってきたクジラ(イルカ)たち、“えのすい”に来た際にはそんな歴史や文化にも想いを馳せながら、イルカやクジラたちを見てみては如何でしょうか?(^^)/

今回も長くなってしまいすみません・・(^_^;)
それでは失礼いたします。

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