2014年09月10日
トリーター:石川

生き物に興味を持ったきっかけは・・・

フンボルトペンギン「ムーン」(左)と「サン」(右)フンボルトペンギン「ムーン」(左)と「サン」(右)

先日、苫小牧にある湖へ 34年ぶりに立ち寄ってきました。
当時まだ中学生で、ボランティアとして参加し、ちょうど年末年始の冬休みということもあり、一面が雪、バスから降りた時は陽が沈み、右も左も雪で、バスが行ってしまった後、一瞬途方に暮れた記憶がよみがえりました。

野鳥の聖域第一号という場所で、朝は雪かきと水鳥が来るための割氷作業をしていて、午後は観察小屋に来た方の対応といったものだったと記憶しています。

夜風呂に入ると湖で休む白鳥の声が聞こえる環境で、鳥好きな方に囲まれて充実した時間を過ごしていました。
そんな中、北海道で会ってみたい鳥、当時ナンバーワンのオオワシとの出会いは感動的でした。
最終日、空港へ向かうまでの時間がまだ少しあったので、湖のほとりで対岸を双眼鏡で観察していた時でした。
向こう側から猛禽類のシルエットがずんずん近づいて来るのです。ここまでの経緯からトビだろうな的感覚で、300mm望遠レンズの付いたカメラに持ち替えて覗いていると、まっすぐに近づいて来るそのシルエットから徐々にその容姿がはっきりわかる距離になり、翼の白色が鮮やかな成鳥のオオワシが飛び込んできました。
そのまままっすぐ私の方へ向かって来て、ワインダー付きのカメラで、当時は 36枚撮りフィルムがMAXでしたが、 36枚全てシャッターを切ったそのまま真上を通過したため、仰向けに雪の中へひっくりかえり、一人で大笑いしていたと記憶しています。
その後観察小屋へ帰ろうと小道を戻ると、小屋からスタッフのお兄さんたちが飛び出てきて、見たか!!見ました!!!そういって抱き合った記憶が鮮明に蘇りました。
当時の中学生には十分なインパクトでした。

あれから 34年、そんなきっかけが今の仕事に就く要因になった一つであることは間違いないと思います。
決して鳥好きだから今ペンギン担当をしているというわけではないのですが、幼少のころからの鳥好きが役に立っているのは確かです。アザラシやイルカの担当を経て、今はペンギンを担当しています。

今回の苫小牧では当時の私と同じ年になった長男にそんな話をしていました。
まだ中学生ですから、どんなきっかけや経験がその先の夢や仕事につながるかは未知数ですが、少しでも多くの感動に出会えると良いなと思っています。
また、私の小さいころには、椋鳩十や戸川幸夫、シートン動物記、ファーブル昆虫記、ディズニーの海底二万マイルやバンビ、わんぱくフリッパーという本や映画やドラマなど、どちらかというと想像を膨らませるコンテンツが多かったように思いますが、今は映像も水族館や動物園もただ見せるだけではなく、それぞれの生き物たちの生息環境や生態に迫っています。

“えのすい”に来られた方も同じように“えのすい”で何かに感動し、影響を受けて、のちに夢や希望のきかっけになれたら幸いです。

そんな感動や発見を探すには、今の時期のペンギンがお薦めです。
夏の換羽(羽がわり)が終わり、新たな繁殖期に入っています。この時期はいつもよりペンギンたちに動きが出てきます。昼間の行動的なペンギン、そしてナイトアクアリウムでは寝ているペンギンと、静と動の違いを見てみるとまた違ったペンギンが見えてくると思います。
ただ、ナイトアクアリウムでは一つお願いがあります。
すっかり夜遊びを覚えてしまった!?向かって右の場所にいる若いペンギンの「ムーン」や「サン」、そして「メロディー」と「ユメ」はできれば寝てもらいと思っています。
なるべく夜遊びの誘いには乗らないようにご注意をお願い致します。

※特別企画「ナイトアクアリウム」は 11月 30日をもって終了いたしました。

ペンギン・アザラシ

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