こんにちは鈴木です。
今回は以前書いたイルカ・クジラ入門 10~オキゴンドウに詳しくなろう~に続く、詳しくなろうシリーズ第二弾、今回はハナゴンドウです。
では始めます!
和名:ハナゴンドウ
学名:Grampus griseus
漢字:花巨頭
英名:Risso's Dolphin
まずは名前についてです。
和名は、オキゴンドウと同じく「ハナ」+「ゴンドウ」に分解でき、ゴンドウとは、「大きな頭」という意味で、漢字では「巨頭」と書きます。ハナは漢字では「花」と書きますが、これは、体にある白い傷跡を花に見立てて付けられています。
実はハナゴンドウは、生まれた時は濃い灰色をしていますが、成長するにつれ徐々に体全体が白く退色していき、同時に仲間との喧嘩やコミュニケーション(じゃれ合い)などによる引っかき傷が体中に白く痕として残ります。そして、成獣になると頭はほぼ真っ白になり、体も無数の傷跡で白くまだらで、まるで頭からバケツ一杯の白いペンキをかぶったような色になります。
なんだか傷跡だらけで痛々しくも見えるのですが、それが種としての特徴なんです。傷跡を想定した皮膚の構造になっているということでしょうか。いずれにせよ面白いですね。
別名で、マツバゴンドウともいわれていますが、やはりこれも傷跡を松葉に見立てたものです。
学名です。grampusは「クジラの 1種」という意味の近代ラテン語で、「大きい」を意味するgrandisと、「魚」の意味のpiscisからできています。griseusは、中世ラテン語で「灰色」の意味です。直訳すると「灰色のクジラ」です。
学名は一見難しそうで、なんだか身構えてしまいそうですが、意味は単純明快で、分かってしまえば見たままの当たり前のことをいっているものばかりなんです。
Grampus griseus(う・・難しそう)=灰色のクジラ(なーんだ、簡単♪)
ほらねっ(´∀`)
・・すみません。
切り替えて、英名のRisso'sとは、人物名で、フランスの自然科学者Antoine Risso博士にちなんで付けられたものです。
Dolphinはご存知の通りイルカですが、実はハナゴンドウは、イルカか、クジラかということについてやや見解が分かれるようです・・。イルカとクジラは 4mを境に呼び分けられているとこの日誌でも何度かお話してきましたが、ハナゴンドウの最大長は 4.0m前後なので、最大長が 4.0mになるクジラとする人もいれば、3.8m程度にしかならないのでイルカとする人もいます。
もともとこのイルカとクジラの呼び分けは、英名と和名で違ったりと、かなり曖昧ではあるのですが、このハナゴンドウもその一つです。ちなみに、日本では昔、マツバイルカといわれていました。曖昧ですね。
続いて体の特徴についてです。
大きさは、成長すると 4m程度、体重は 500kg位になります。体色などの特徴は名前のところで書いてしまいましたが、他にも形態の特徴として、歯の生え方が変わっています。上顎に歯はなく、下顎だけに杭状の歯が 2~ 7対( 4~ 14本)ほどあります(“えのすい”のハナゴンドウ、「ビーナ」は全部で 6本です)。全く歯がないものもいるそうです。
次に生息域です。
世界中の温帯や熱帯の暖かい海域に広く棲息しているようで、どちらかというと深場を好むようです。日本でもメジャーな種で、和歌山県を中心に多く見られます。
最後に生態などです。
25~数百頭の群れをつくって生活し、主食はイカです。他の水族館でもイカを餌として与えているところが多いのですが、うちの「ビーナ」は現在魚しかあげていません。(これをいうと、同業者に驚かれることが多いです。決してイカが高いからあげないのではないですよ、どうやらあまりイカが好きじゃないみたいです。ハナゴンドウなのに・・)
ざっと、こんな感じでしょうか。
あ、ちなみに、現在のハナゴンドウの世界最長飼育記録は、なんとなんと、“えのすい”で暮らしていた、メスのハナゴンドウの「ヨン」( 1961~ 2003)で、驚きの 42年です!
「ビーナ」は現在、飼育年数は 26年、ぜひ「ヨン」以上に長く元気でいて欲しいですね。
こんな感じで、このシリーズはあくまで入門編ということで、“えのすい”で暮らす4種について書いていければいいなと思っていますので、次回もどうかよろしくお願いしますm(__)m