2015年06月19日
トリーター:岩崎

野菜大好き

相模湾大水槽に、野菜が大好きな魚たちがいます。
海ではアオサやカジメ、アラメなどの海藻類や、アマモのような海草類、コケといわれるような藍藻類を食べている魚なので、代わりになるような食べ物として、野菜を与えることにしました。

きっかけはホシエイの背中です。
最近、相模湾大水槽のホシエイたちが日中“半トンネル”や入口近くの浅瀬にかたまって泳いでいることが多くなり、メインのアクリル面にほとんど近寄らなくなっていました。
そして、背中にはあやしい白い傷跡が日に日に目立つように。
ホシエイのシンボルである“夜空の星のような白点模様”がどこにあるのか、わからないほどです。

よく観察してみると、ホシエイの背中をしきりにつついている魚を発見!
ニザダイとニセカンランハギです。

ホシエイがメインのアクリル面を泳いでいると、この 2種類がすかさず背中をつつきに行きます。
ホシエイの背中には、皮膚の保護のため、黒っぽい粘膜がたくさん分泌されているのですが、どうやらこの粘膜をかじりとっているようなのです。
ウェットスーツにこびり付くと大変なくらいベトベトなのですが、なんとニザダイとニセカンランハギの一部が、この粘膜を食べることを覚えてしまったのです。動きが素早いので、体の大きなホシエイは攻撃をかわすことができません。
これらの魚は、日中活発に行動して夜間は活動が鈍るので、夕方近くになると、ようやくホシエイたちは悠々とメインパネル付近を泳げるようになっていたのです。

日中、メインパネル中央にホシエイが現れないのは展示として困ったもので、なによりホシエイたちが迷惑そうです。
どうしたものかと考えて、思いついたのは粘膜の代わりになるような食べ物を与えることでした。

ニザダイやニセカンランハギの仲間は、海藻や海草などの植物質を好む食性があるので、“粘膜に近いようなねばねばした食感の野菜”ということで、まず始めにモロヘイヤを与えてみることにしました。

モロヘイヤの束におもりを縛り付けて、スロープの途中にある丸い窓の前に沈めてみると、狙いのニザダイとニセカンランハギが近づいてよく食べました。
その他にも、アイゴやテングハギが集まって食べていました。
モロヘイヤ以外にも、小松菜やレタス、大根の葉などいろいろ与えてみたところ、何でもよく食べることがわかりました。

野菜を与え始めて数週間が経過しましたが、相変わらずニザダイとニセカンランハギは、ホシエイの粘膜をつまみ食いしています。一度覚えてしまった行動はなかなか消えないものですね。
それでも、粘膜の食べ方はおだやかになったような感じもするので、野菜は継続して与えることにしています。
ホシエイの背中と、ニザダイとニセカンランハギの行動に注意しながら、観察を続けています。
野菜は植物食性の魚たちの健康のためにも良いのでは?と、期待もしています。

開館時間と 2回目のダイビングショー“フィンズ”の後に与えることが多いので、ご興味のある方はこの時間にご覧ください。
ほんの数分で豪快に食べつくしてしまうので、見逃してしまった方はごめんなさい。
ご容赦くださいね!

相模湾ゾーン

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