2015年10月20日
トリーター:羽田

研究発表

今月の 7、8日と北海道で開催された第 41回海獣技術者研究会に参加してきました。
海獣技術者研究会と突然いわれてもどんな会議かわかりませんよね。
この研究会は、日本動物園水族館協会が 1年に 1度開催していて、日本の水族館・動物園で飼育している海獣類についての調査・研究を報告し合う場です。
もちろん発表するのは私と同じ、日本各地にある水族館や動物園の飼育職員です。

えのすいトリーターってショーや動物達を飼育するのが仕事じゃないの?と思う方もいらっしゃると思います。
ですが、水族館の役割の中の1つに「調査・研究」というものがあります。
私たちトリーターは、普段ショーや動物達の飼育をするだけでなく、動物たちから得られる様々なデータを収集・解析し、今後の飼育に生かしたり、発表という形で公表したりしています。
今年の研究会では、私の他に櫻木と大内の三名が発表してきました。
ここまではちょっと難しい話しをしてきたので、簡単に発表の内容をお話しします。
今回は私の話しをしますね。

人間は妊娠するとどんどんお腹が膨らんできますが、バンドウイルカが妊娠している時、いつ・どれくらいお腹が大きくなるものなのかな?という疑問から、当館で妊娠したイルカの腹部を妊娠している間、定期的に測ってみました。
出産間近までずっと測ったところ、出産の約 90日前くらいから腹部がどんどん大きくなってきました。

なんで出産の 90日前から大きくなるの?と思う方がいると思いますが、これは子イルカの身体の向きや、成長などが関係しているのではないかなーと想像しています。

じゃあ、これが何かの役に立つの?と思う方も、もちろんいらっしゃると思います。
まだ 1頭だけしか測っていないので、これから妊娠したイルカで同じように腹部を測ることで、だいたいこの時期から大きくなるから、いつくらいに産まれそうだね、ということが分かったり、妊娠のこの時期くらいにはこれくらい大きくなってるといいね、という目安になるかもしれないな、と考えています。
この研究はまだ始まったばかりなので、これからどんどん進めていきたいと思っています。

イルカやアシカ、ペンギンなど、“えのすい”で飼育している海獣類についても、まだまだ分かっていないことがたくさんあります。
日頃のちょっとした疑問から、今回のように新たなことが少しずつ分かっていくんですね。
そういったことが、動物たちを健康で飼育するのに役立つよう、お客さまにもっと動物たちのことを知ってもらえるよう、私たちは身体を使うだけではなく、時には頭も使っています!!

そして、こういった研究会に参加すると、他の水族館・動物園で研究していることを学べるとてもいい機会なんです。
自分が知らないことを勉強できるって楽しいですよね!
とてもいい刺激になりました。

今回はちょっと難しい話になってしまいましたが、こんなこともやっているんだなーっと思っていただれば幸いです。
これからもいろんな新しい発見をしていきたいと思うので、みなさん楽しみにしていてください!

写真はお腹周りを測っている風景です。

研究発表
バンドイルカにおける妊娠時の胴周囲長及び乳裂間幅変化ついて

イルカショースタジアム

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