もうずいぶん前になりますが、丹沢の旅館に泊まったときのこと。小田原名物のオシツケが夕食に出てきました。
旅館のご主人曰く、オシツケは高級魚で小田原ではお正月に食べる魚だとのこと。脂が多いので、いっぺんにたくさんは食べないんですよ。たくさん食べると下痢になります。といわれたにも関わらず、とってもおいしかったので連れの分まで食べ、案の定、お腹を壊しました。
オシツケなんて魚、聞いたことないな? 水族館職員たるもの、知らないことは調べるべし! ということで後日食材魚介大百科をめくると、オシツケはアブラボウズのことでした。
どうやら私はアブラボウズの脂に弱い体質だったらしいです。
2014年 4月より展示している当館のアブラボウズはずいぶん成長し、そして態度もずいぶん大きくなり、タカアシガニの水槽で幅を利かせています。他の魚は寄せ付けず、「あっちへ行け!」とばかり追い払います。でも大きな口を開けて「ちょうだい! ちょうだい!」とマグロの切り身をねだる姿はかわいいです。
ちなみにオシツケは殿中の女房詞(ことば)で〈飲食物の毒見をする〉という意味だそうです。食べすぎると下痢をするため、毒見を要する魚とされたそうです。