2016年11月15日
トリーター:戸倉

ウミガメプールの落水掃除

ウミガメプールの落水掃除ウミガメプールの落水掃除

先日、アオウミガメプールの水を抜いて、大掃除をおこないました。
ウミガメは爬虫類なので、温めているプールの水を抜いてしまうと、外気温に合わせて体温も下がってしまいます。比較的低緯度海域を生活の拠点とするアオウミガメにとって、これ以上季節が進むと寒さの限界になってしまうので、プールの水を落とせるのは、今がラストチャンスのタイミングでした。

大掃除の目的は、壁に着いたコケ(珪藻)を落とすことです。実は 2014年 4月に「ウミガメの浜辺」がリニューアルオープンして以来、初めての落水掃除なのです。(アカウミガメプールは 10/ 6に落水掃除をしました。[2016/ 10/ 07 きれいになりました])
プール底面は長~いデッキブラシでこまめに擦っていたのですが、縦壁の掃除ができず、コケが真っ黒に繁殖し、とうとう我慢の限界となりました。


落水直後のプール(壁が真っ黒です。)

この力強く繁殖したコケは、もう人力では落ちません。なので、化学の力を使います。
あの「まぜるな危険!」でおなじみの塩素系漂白剤。次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を少し薄めてコケに直接かけます。我々は略して「塩素」と呼んでいますが、これはタンパク質を分解するので植物であるコケには効果抜群です。(ちなみに、この塩素は殺菌作用もあるので、人間用プールや食品添加物として上水道などに使われたりしますが、時間の経過と共に自然分解し、塩化ナトリウム水溶液=塩水へと変化して行きます。)


壁のコケが見事に落ちました!

しかし人間も含めて、ほとんどの生物はタンパク質でできているので、逆にウミガメたちに塩素がかからない様に注意をしなければなりません。また使用中に塩素ガスが発生したり、塩素の飛沫が飛んだりすることもあるので、人間も含めてウミガメたちが吸い込まないように注意が必要となります。そこで、まだまだ肺の小さな子ガメたちは念のため一時疎開をしました。


一時疎開の子ガメたち!

少々窮屈ですが、塩素ガスなどを吸い込まないために仕方ありません。
ちょっと前までは、このネットの中で余裕をもってごはんを食べていたのですが、こうして見ると「大きくなったなぁ~」と妙に感心したりします。


掃除も終わり、海水も張りました!

今では、プールもすっかり元に戻りウミガメたちも気持ちよさそうに泳いでいます。
このきれいな状態を如何に保つかが今後の課題です。まだまだ掃除したてなので、このきれいなプールと気持ちよさそうに泳ぐウミガメたちをぜひ見に来てください。掃除も頑張りますので・・・

ウミガメの浜辺

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