2016年12月07日
トリーター:伊藤

ひっそり登場、相模湾産の珍魚たち

コバンアジコバンアジ

当館のホームページでは、新着生物を大きく取り上げて紹介したり、週に一度、おすすめ生物を紹介したりしています。
ここでは、それなりに珍しいものの、大きくアピールされることなく、さらりと展示されてしまっている魚を、いくつか紹介致します。

コバンアジ
夏の終わりころから小さなものを“じゃぶじゃぶ池”に展示しています。
水族館のメンツとしてはそんなに珍しくないみたいですが、当館では初展示です。そして、正真正銘の相模湾産です。辻堂海岸の波打ち際で、キンセンガニあたりを狙って網を適当にふるっていたら、たまたまキャッチされました。
まだ弱々しいですが、餌はよく食べています。元気に育ってほしいです。

ハナハゼ

当館では、過去にいろいろな水槽に登場していますが、今回は環境水槽に登場です。
これまでは、わざわざ駿河湾まで遠征して釣ってきていたのですが、今回の展示個体は、当館職員も初めてお目にかかる、生粋の相模湾産です。地元の漁師さんが漁のついでに取り置いて下さいました。
リボンのようなヒラヒラ感が見ていて癒されます。

スジハナダイ
金目鯛釣りでお世話になっている漁師さんからいただきました。ということでやはり相模湾産です。相模湾ではなかなか珍しい魚です。
ハナダイ類がたくさんいる逗子沖サンゴ水槽に 1個体だけ入っており、よく見ると頭から尾にかけて赤色のスジが入っています。

ヨコスジフエダイ
これも地元の漁師さんから頂きました。しつこいようですが相模湾産です。
しばらくバックヤードで過ごしていたのですが、状態も良好で、餌もよく食べていたので最近になって漁港水槽に登場させました。
体のわきの黒い模様が良く目立つので、すぐに見つけられると思います。

アカメ
「四万十川のぬし」として、釣り師には特に知られた存在です。相模湾からもほんの数例だけ記録があることから、別産地の幼魚を入手してキッズ水槽に展示しました。
幼魚期の模様は海草やヨシに紛れる擬態として知られています。魚だけ見ていると、全然そうは思えなかったのですが、水槽内で飼ってみて実感しました。
朝の見回りの際「あれ?どこだ?」となり、よく探すと、水槽の中央に堂々といることもしばしばです。メリハリの効いた模様が、魚の輪郭をぼかし、トリックアートのごとく背景にとけ込むようです。

今回紹介した魚のいくつかは、魚名解説板のスペースが一杯だったり、それ用の写真がまだ用意できていなかったりで、解説がない、いわば隠れキャラ扱いです。
当館には他にも、ひっそりと登場を果たしている生き物がいます。これからの季節、平日は特にじっくりと水槽内を観察しやすいので、興味がある方はぜひ、探して見てください。

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