目の前の海、相模湾をテーマにしている新江ノ島水族館では、相模湾の環境とそこに生息している生き物たちを紹介しています。
海流や河川の影響、沿岸域から水深 1,000m以上の深海まで、変化に富んだ自然環境に恵まれた相模湾は、1,500種以上の魚類が生息していることが知られています。
豊かな海である相模湾から漁獲される魚は、貴重なタンパク源として古来より利用されてきました。
相模湾旬の魚図鑑では、命をいただく感謝の気持ちを込めて、“食”の視点から相模湾の魚たちを紹介していきます。
1回目の今回は、“魚の王様”といわれているマダイ(Pagrus major )です。
マダイは琉球列島を除く日本各地の水深 30~ 200mくらいの海域に生息しています。
光沢のある赤い体の色と、大きな頭と鋭い背びれ、その姿形に風格があることから、マダイは縁起の良い魚、祝い事に欠かすことのできない魚として利用されてきました。
「めでたい」魚の代表として、似たような平たい形の魚には「タイ」という名前が付けられているほど日本人に愛されている魚です。
マダイは春に産卵期を迎えるため、栄養を蓄えている秋から冬にかけて脂がのっておいしいといわれています。
定番の刺身や塩焼き、煮付けやあら汁、鯛めしはもちろんのこと、あらゆる部分をさまざまな料理方法で利用されてきました。
2月 3日は節分で 4日は春分です。
旧暦では一年の終わりと始まりの日とされている節目の日に、旬のマダイを肴にお祝いするのはいかがでしょうか?
相模湾大水槽では、体重10kgクラスのマダイを飼育しています。
ダイバーで潜っている時にふと横を見ると、大きなマダイと目が合うことがあります。
赤い光が吸収されてしまうので、水深 6.5mの相模湾大水槽では黒っぽくぼんやりとした色に見えてしまいますが、巨大な頭とギョロリと鋭く光る大きな目は、迫力満点で貫禄があります。
王者の風格漂うマダイの姿をじっくりご覧いただきたいので、ダイビングショー「フィンズ」のリクエストをお待ちしています。