2018年07月19日
トリーター:山本

カツオノエボシの魅力その 3【赤ちゃん生まれました!】

カツオノエボシの魅力シリーズ第3弾!
全国のカツオノエボシ(Physalia physalis)ファンのみなさんにご報告です!
なんと、“えのすい”でカツオノエボシの赤ちゃん(protozooid)が生まれました!!
いくら論文やネットで探しても画像を見つけられなかったので、もしかしたらかなり貴重な情報かも!と、クラゲチームで勝手に盛り上がっております(笑)
この興奮をぜひみなさんも味わってください!

始まりは 7月 5日。“えのすい”の近くで久しぶりにカツオノエボシが打ちあがっていました。
そこで、6群体の生殖個虫のみをビーカーに入れていたら、2日後( 7月 7日)に謎の塊が観察されました。
それがこちら↓


一つ一つに白い点のようなものがあり、観察しているとゆっくりその場で回転しています。
サイズは 0.5mmほどです。
カツオノエボシは、一生を浮遊して生活するため、どのような卵や幼生であるのか情報がほとんどありません(専門の研究者が少ないのでしょうか・・・??)。
そのため、半信半疑で「これはカツオノエボシの卵?幼生?それとも全く違う何か?」と、全然正解がわからないまま、ひとまずビーカーで飼育を続けておりました。
すると、4日後( 7月 9日)に形の変化が見られました↓


「なんか、生き物っぽい!」と、みんなでテンションが上がりました。サイズは0.7mmほどです。
20秒に 1度くらいで体を折り曲げるような動きをします。ただ、他のクラゲとは発生の仕方がまったく違うため、まだカツオノエボシかどうかわかりません・・・。
「わかんないけど、とりあえずそのままにしとこう!」と軽い気持ちで待っていると、5日後( 7月 10日)にはまたまた変化が!
動画もあります!↓






この写真は違う 2個体(もう群体?)です。
1日に 1度しか観察をしていなかったので、突然の大きな変化に驚きました!
動く・・・! かなりそれっぽい・・・!
サイズは 1mmほどです。栄養個虫らしきもの(刺胞っぽいものがありました)があり、2つの塊がほとんど同じような形になったので、カツオノエボシの赤ちゃん(protozooid)と判断しました!
そして、研究者の方にも画像を送ってみたのですが、ほぼ確実にそうだとのことです!
わーい!
ただ、体の構造がいまいちわかりません・・・
図鑑に載っていた図と全然違うし、どこが気胞体でどれが口だろう・・・?
正常に発生していない可能性も捨てきれません・・・。
実は、19日(木)現在、残念ながらこれらはバラバラになって溶けてしまったのです・・・。
傷つけてしまうのが怖くてなかなかいじくれなかったのですが、次の機会にしっかりと観察しようと思います!

残念ながら、今回はここまでしか進めませんでした。
しかし、この方法でprotozooidになるまでは育てられることがわかりましたので、次にカツオノエボシが打ちあがった時は、温度や飼育容器等をいろいろ工夫して、もっと大きく育てられるようにチャレンジします!
また、今回はプラヌラ幼生の状態を見逃してしまった( 1枚目の写真は恐らくプラヌラから進んでしまった状態です)ので、次回は見られるように観察してみます!
今回の経験で、カツオノエボシ繁殖の夢に向けて大きな一歩を踏み出しました!
これからもどうぞご期待ください!!

クラゲサイエンス

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