2018年09月15日
トリーター:戸倉

絶滅危惧な仲間たち

ツバサハゼツバサハゼ

「平成」という時代も、残す所約半年となりましたが、きょうは私が担当している「今上陛下のご研究」にいる、絶滅危惧種に指定されている仲間たちを紹介します。

「今上陛下(現 天皇陛下)」がハゼ類のご研究をされているのは、みなさんご存じだと思います。
ここでも多くのハゼを展示しています。その中で絶滅危惧種に指定されているハゼは 3種。

まず、上の写真の「ツバサハゼ : 絶滅危惧l A類(CR)」ですが、ご覧のように胸びれが左右に大きく張り出し、ツバサのような姿をしています。
薩南諸島以南の西太平洋沿岸の河川に生息し、特に上流の急流域を好むようです。
この大きく張り出し、湾曲した胸ビレに水の流れを受け、まるで F1のリヤウィングの如くダウンフォース(地面に押さえ付ける力)を得ることにより、流れの強い水中でも体の安定性を保つことができる。とのこと・・・ かっこいいです!
6~ 7cmほどの小さな体ですが、水槽の中央にある流木の正面の小枝がお気に入りの場所らしく、いつもそこにいますので、すぐにご覧のような写真を撮ることができますよ。


タメトモハゼ

次に、「タメトモハゼ : 絶滅危惧l B類(EN)」ですが、ハゼの仲間としては大きな種類で 30cmくらいあります。
薩南諸島以南の河川に生息しているといわれ、顔だけ大きく写真に撮るとまるで“古代魚”のようですね。黄色と黒の斑入りでとても綺麗な体色をしています。
えのすいでは「むきアサリ」や「マグロの切り身」などを良く食べています。


タナゴモドキ

最後に、「タナゴモドキ : 絶滅危惧l B類(EN)」ですが、腹びれが左右に分離して吸盤状になっていないことや、口元が小さくタナゴのような容姿からこの名前が付きました。
でも、ハゼの仲間です。
繁殖期のオスは綺麗な婚姻色が現れ、水族館でも何度か卵からふ化仔魚を得ることができたのですが、その先がうまくいきません。今後繁殖を成功させたい種でもあります。

以上の 3種が「今上陛下のご研究」で、絶滅危惧種に指定されている淡水性のハゼたちです。
比較的小さな水槽に入っているので、ご家庭の水槽のように、とても近くで覗き込むことができます。
これら 3種に、いつまでも会うことができて、いつしかその指定が外れる日が来るとよいですね。

皇室ご一家の生物学ご研究

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