2019年03月29日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 2nd Season その3

桜の花が見ごろを迎えてきました。
今年は開花してから気温が低い日が多かったので、場所によっては4月の入社式や入学式まで花がもってくれそうですね。
そんな桜のシーズンに紹介するのは、サクラダイ( Sacura margaritacea )です。

太平洋側では、相模湾から九州にかけての、水深10~110mの岩礁周りに、大きな群れで生息しています。
成長しても最大18cmくらいの、比較的小型で美しい魚です。
最初はすべて雌で生まれてきますが、群れの中で15cmくらいに成長した、大型の個体が性転換して雄になります。
雌は背びれの黒い斑紋が特徴で、全体的に赤いだけの体色なのですが、雄になる個体は、背びれの一部と尾びれが糸状に長く伸びて、桜の花びらのような白い斑紋が、体の横に現れてきます。
雄と雌の体の特徴が、あまりにもはっきり違うので、以前は雄・雌がそれぞれ別種であると考えられていたほどです。

サクラダイは相模湾でもよく見られ、マダイやマアジを狙った船釣りで、水深20~70m前後の岩礁周りを攻めていると、本命に混じっていっしょに釣れることがあります。
狙って釣っているわけではなく、小さくて捌くのも面倒なことから、食べずに捨てられてしまうことが多いようです。
釣上げた際に浮袋が膨れてしまうので、そのままリリースしてもまず生きられません。
大きな個体は刺身や塩焼き、煮付けなど、小型のものはスープやから揚げなどにして食べてみると、意外においしい白身魚です。
美しく散った“サクラ”はしっかりと食べていただければと思います。

えのすいでは、逗子沖サンゴ水槽でサクラダイを展示しています。
サクラ模様が入った雄個体がいますので、キサンゴの周りを泳ぐ美しい姿を、じっくりとご覧ください。

[ 2019/02/26 相模湾旬の魚図鑑 2nd Season その2 ]

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