水族館で飼育している魚たちも飼育をしているとケガや病気になります。
ときどきですが飼育している水槽の中で、魚同士でケンカをしたり、それが元でストレスから感染症や寄生虫症になったりしています。
私たちトリーターは日々の日常管理の中で、そういった魚たちのケアをして、再び展示水槽に戻すということをしています。
今回は、その一例を紹介しようと思います。
お話は昨年の 2月に遡ります。
シラスサイエンスの隣の水槽で展示飼育している「マツカサウオ」の尾ビレ上側にヒレの欠損が見つかりました・・・
何かに驚いて岩には挟まってしまい、その時に傷ついたようです。

マツカサウオはこんな魚です。
このままではうまく泳げず、食事もとれずに病気になってしまうことが考えられたので、バックヤードに下げてケガをした箇所の治療を始めました。
欠損した箇所は赤く、肉がむき出しになっていたので、外用殺菌消毒剤を塗って傷の消毒をして、合成抗菌剤の薬浴を行うことで傷からの感染症を防ぎました。
治療中は、ストレスもあり食事を摂らなくなってしまったので、ちょっとかわいそうですが栄養剤を混ぜたミンチを直接胃の中に流し込んであげました。
・・・食事がとれないと体力が落ちてしまいますからね。
治療開始から 2週間後には欠損箇所の傷も良くなり、さらに数日後には自分でエビなどを食べられるようになりました・・・
傷から感染症にならずにすんでよかったです!
さらにその 2か月後には欠損部分の再生が進み、しっかりと泳げるようになったので、再び展示水槽に戻っていきました。
手間をかけて、治療をしてよかったと思える瞬間でした!!
じっくりと手間をかけて診てあげれば、魚たちのケガは治るんですよ!
私たちと同じですね、魚たちも強い治癒能力を持っていることがわかりますね。
ケガから 1年ちょっと経った今では、尾ビレもかなり再生して、他の個体と変わらないくらいに展示水槽で元気に泳いでいます。
尾ビレの上側が少し短くなっているマツカサウオが治療した個体なので、展示水槽の中から探してみていただくのもいいかもしれません。
・・・よく観ないと分からないかも。