2019年05月14日
トリーター:小森

いろんな“怖い”を克服中

コツメカワウソの子どもが生まれてもうすぐ 5か月になります。体重は「ヨモギ」 4.005kg、「ミサキ」 3.045kgに対し、「カシワ」 1.845kg、「オモチ」 1.745kg、「サクラ」 1.6454kg。だんだんと親の体重に近付いてきています。顔つきもこんなに違いが現れてきましたよ! ちなみに、左から「サクラ」、「オモチ」、「カシワ」です。

なんとか噛まない子たちになってもらおうと給餌後に遊ぶ時間を設けて一生懸命アプローチをかけてきましたが、悲しいことに最近は噛むように・・・。
彼らにとっては遊んでいるつもりなのですが、力加減ができないため油断しているとがぶりとやられます。
けれど人と遊ぶことは大好きなので、「ミサキ」の真似をして膝の上に飛び乗ってくるんです。怖がらずにいてくれるのは嬉しいけれど、顔にじゃれつきにこないか常にドキドキしています・・・。
痛くてもうまく加減ができて歯型がつかないときもあるので、そのときは成長を感じてめちゃくちゃ愛おしいのですがね(^^)


さて、そんな怖いもの知らずのように見える彼らにも怖いものはもちろんあります。そこで今回はいろんな“怖い”の克服談をご紹介していきます。

最初の“怖い”は初めてのプール。小さなコンテナで泳ぎの練習はしていたものの、いざ大きなプールが目の前に現れるとさすがに怖かったようです。
3月 24日の夕方に水を張りましたが、ちゃんとした遊泳は翌朝になってからとなりました。これはそのときのようすです。


おっかなびっくり泳いでいますね! しかしこの数分後には立派に泳ぎ始め、水からあがったあとも貫録のぶるぶるトルネードを披露していました。


続いての“怖い”はデッキエリア。去年まで「ヤマト」と「ミヤマ」が暮らしていた部屋です。
なんとかこの部屋も有効活用したい!ということで、4月 16日から移動の練習をおこなっています。


私たち人間から見ると何の変哲もない部屋ですが、警戒心の強いカワウソにとっては初めて行く海外旅行並みの大冒険です。
現在「ミサキ」、「カシワ」、「オモチ」、「サクラ」は問題なく移動してくれますが、「ヨモギ」だけはいまだに警戒しておりまだまだ時間がかかりそうです。
私たちも、「ヨモギ」が安心できるよう便を床に撒いてみたり巣箱を置いてみたりと試行錯誤中。がんばれ「ヨモギ」、頼むぞ「ヨモギ」・・・

そして最後の“怖い”は一眼レフ!
この大きな物体が近づいたり、音がカシャカシャ鳴ったりするのがどうも怖いようです。ですが、いまや多くの人が持っている物ですので馴れてもらわねば困ります。
何度か獣医が持って入室したのですが、そのたびにフガフガいって飛び掛るなど「ミサキ」の攻撃が止みません。そこで今回は馴れてもらえるようカメラを持って一人で入室してみました。
入室したときはやはりフガフガ言っていましたが、黙って動かず、じっとしているとだんだん警戒を解いていき、「ミサキ」はフリーダム状態に!


じっとする作戦、いいかも!と思い、そのまま30分以上じっとしていましたが、他の4頭は一向に近寄りません。見てください、この不審者を見るような目…




ずっとこんな目で見つめられ続けるとさすがに悲しい。寂しくなって思わず「カシワ・・・オモチ・・・」と名前を呼んでみると、なんとおずおずと近寄ってきたではありませんか!
「ミサキ」にとってはじっとしていることが安心につながったようですが、他4頭にとっては逆効果だったようです。
カメラは彼らにとって得体の知れないものですが、それを持った私が声を掛けたことにより、近寄っても平気なんだ・・・!とカメラへの警戒を解いたようです。
うーん、難しい。そこからはだいぶ近くで撮影できるようになりました。まだ完全に、とまではいきませんが、だいぶ馴れてくれたかな?


それにしてもこの「カシワ」、某映画のジャバ・○・ハットにしか見えない・・・
知らない人は調べてみてくださいね、ジャバ・○・ハット。

親子ともに心も体もぐんぐん成長中です。
現在、いろんなことに馴れてもらえるようごはんの時間など、見えにくい場所につれていってしまっていることもありますが、温かく見守っていただければと思います。引き続きカメラにも馴れてくれるように試行錯誤していきます。
今後もカワウソたちの成長をお楽しみください。

カワウソ~木漏れ日のオアシス~

RSS