雨やすっきりしない天気が続き、夏らしく輝く太陽を感じられない日々が続いていますね。今週は暑い夏とは無縁な冷たい深海すむ生き物「トリノアシ」をご紹介します。
それにしても、「トリノアシ」とは見事なネーミングセンスだと思いませんか? この色やかたち、体表の質感などの特徴を“鳥の足”に例えたのは本当に秀逸です。地味で動きがなく、目立たない生き物ですが、名前を知ったら不思議な納得感と共にその姿が心に残るかと思います。
姿かたちからは想像もできませんが、実はトリノアシはナマコやヒトデと同じ棘皮動物というグループに分類されます。花のようにも見える「冠部」にある「腕」に生えた細かい毛で、流れてくるプランクトンを捕まえて、その中心にある口へ運んで食べているのです。
プランクトン食の生き物の長期飼育はとても難しく、深海生物であればなおさらです。現在、深海Ⅰ~JAMSTECとの共同研究~ で展示中のトリノアシは、今年3月に駿河湾の底引き網漁でとれた個体で、飼育期間の記録更新を目指して大切に飼育中です。
そんなトリノアシ、夏とは無縁の生き物と思っていましたが、「冠部」を上から見ると、花火のように見えて涼しげでした。みなさんも冷たい深海に涼しげな花火を咲かせる「トリノアシ」をぜひ見に来てくださいね。